女子サッカー・リオ五輪アジア最終予選第4戦のベトナム戦、最終戦の北朝鮮戦に連勝したものの、時すでに遅し。リオ五輪出場を逃したなでしこジャパンが露呈したのは、経年疲労で脆くなっていたチーム状態だった。
異変は初戦・豪州戦の試合中から始まっていた。ムードメーカーのFW大野が前半途中での交代にあからさまに不満そうな態度を見せ、続く韓国戦、中国戦は出番なし。不動のレギュラーだったDF岩清水も豪州戦こそフル出場したが、その後は大野同様、ベンチ要員となってしまった。大会を取材したサッカージャーナリストが言う。
「大野、岩清水が外されたことでチームのヒエラルキーが変わった。代わりにMF宮間とFW大儀見の発言力が強まり、ベンチには微妙な空気が流れました」
サッカーに対してストイックすぎる宮間と大儀見に対して違和感を覚える選手は少なくなかった。1対2で敗れて予選突破が厳しくなった中国戦後、ピッチ上で涙を流す大儀見に歩み寄ったのは宮間だけだったのが2人の“孤立”を象徴していたと見る関係者は少なくない。
さらに大儀見は取材エリアで「ピッチに立つ以前の問題」と勝負への意識が低いチームメイトに怒りを露わにしたが、そのコメントを聞いたある選手は「ここで話すことじゃない」と反発して報道陣を驚かせた。
「初勝利したベトナム戦では、控えに回っていた宮間だけが必死にベンチを盛り上げようとしていたが、空回りしていた。ゴールを決めた選手がベンチに駆け寄って全員で喜ぶのが当たり前でしたが、そんな場面もなかった」(同前)
チーム崩壊のきっかけになったのが、なでしこの支柱だった澤穂希の引退だったことは間違いない。元なでしこの選手が語る。