豊かな天然資源に加え、人口増加で市場の魅力が高まるアフリカ。中国は今、200兆円とも言われるアフリカ市場を侵食している。『中国が喰いモノにするアフリカを日本が救う』(講談社+α新書)著者で国際政治評論家のムウェテ・ムルアカ氏がリポートする。
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昨年末、アフリカ東部のジブチに中国海軍の軍事基地が建設されると発表されました。中国が強調した建設理由は「海賊対策」。しかし、数年前に中国の国有企業がジブチの港湾施設の運営に参画し、港湾鉄道の建設に着手しはじめたころから、地元の人たちは、「ただの事業支援やインフラ整備ではない」と気付いていました。やはり、軍事拠点だったのです。
中国を世界2位の経済大国に押し上げた要因のひとつは、アフリカに眠る膨大なエネルギー資源と金属資源です。世界経済が衰退して先進諸国がアフリカ援助に消極的になった20数年前に本格的な中国の進出がはじまりました。しかし中国が行っているのは支援や開発とは名ばかりの搾取です。インフラが未整備という弱みにつけ込んだ侵略とも言えます。
たとえば中国は、世界的な石油産出国のアンゴラに20億ドルを融資する条件として、国内に3か所ある油田の株式を得ました。また、南アフリカはレアメタル「クロム」の全世界埋蔵量の4割を有しているとされていますが、中国は道路建設などの支援と引き替えにクロム権益を獲得しました。
このように中国は「道路を造るから鉱山を開発させろ」「空港を建設してやるから油田の権利をよこせ」「金を貸すから港を自由に使わせろ」と金と力にモノを言わせて、取引を迫ったのです。
ジブチの港湾整備もその一環であり、今度は基地を建設するというのですから、軍事的な進出も警戒すべきです。
資源と引き替えにでもアフリカの地元の雇用が増え、生活が豊かになるのなら問題ないのでは、と考える人もいるでしょう。
しかし、中国の援助はいわゆる「ひもつき援助」です。インフラの建設工事や資源の開発作業を請け負うのは中国企業で、地元の企業や住民にメリットはありません。それどころか、環境破壊や森林伐採などデメリットが多い。深刻なのが中国企業が建設した道路で多発する感電事故です。