食料品から衣料品、日用雑貨、家具、家電まで何でも揃う総合スーパーは「GMS」といわれる。ダイエー、イトーヨーカ堂、ユニー、ジャスコ……、長らく日本の小売業を牽引してきたこれらの大型店は、みな「G(ゼネラル=一般的)」、「M(マーチャンダイジング=商品計画)」、「S(ストア=店)」業態で盛隆を極めた代表格だ。
しかし、いまやGMS事業は各社共通の“負の遺産”。真っ先に売り場の縮小や店舗閉鎖といったリストラ対象に挙げられるほど厄介な存在となった。
旧ジャスコを筆頭に、総合スーパー事業で巨大流通グループの礎を築いたイオンは、現在でも全国に300店以上のGMSを抱えるが、食料品以外は振るわずGMS事業がグループ経営の足を引っ張る構図が続いている。
そのうえ、イオンには2015年1月に完全子会社化したダイエーの再生という難題ものしかかっている。そこでダイエーも含めたGMS事業の一大改革を行っている。生鮮・デリカなど好調な食品を拡充させ、その他の商品も地域の客層に合わせて売り場規模の比重を変える新店舗「イオンスタイル」への“衣替え”はその一環だ。
イオンよりもGMS改革に大ナタを振るう覚悟を見せているのは、ユニーやイトーヨーカ堂である。
コンビニ業界3位のファミリーマートとの経営統合を決めたユニーだが、なかなか合意に至らなかったのは、傘下のサークルKサンクスとの「コンビニ合併」の話とは別に、ユニーの“お荷物”となっていたGMS事業のリストラ見通しが立たなかったからだと言われている。
「結局、両社の経営統合を主導した伊藤忠商事の剛腕により、今後、ユニーのGMS店舗は数十店規模の閉店を余儀なくされるだろう」(経済誌記者)との見方が強い。
また、創業から100年近い歴史を持つイトーヨーカ堂も苦戦続き。2016年2月期の決算では営業赤字に転落する見通しで、やはりコンビニ事業が絶好調なセブン&アイグループの足手まといになってきた感は否めない。ヨーカ堂は今後5年で40店舗の閉鎖を決めていたが、ここにきて2017年2月までに半分の20店舗を閉める「前倒し」を発表した。
だが、相次ぐ流通企業のGMSテコ入れ策に「遅きに失した」と断罪する声は多い。