「しあわせって何だっけ」そんな曲がヒットしたのは1986年のこと。あれから30年、「幸せの形」もあの頃とは随分と変わったのではないか。改めて幸せってなんだろうと考えることも大切なのかもしれない。人生をリセットして「後妻という生き方」を選んだ女性たちをルポした『後妻白書 幸せをさがす女たち』を上梓した作家の工藤美代子さん(65才)と、タレントでエッセイストの小島慶子さん(43才)が、本音で語り合った。
工藤:私の周りには閉経後も男の人を探している人が山ほどいます。みなさん悩むのはホルモンが少なくなってセックスが難しくなることです。
小島:『後妻白書 幸せをさがす女たち』にも書いてありましたね。ジェルじゃ間に合わないって。
工藤:相談されて最近見つけたのは、あるクリニックがイタリアの機械を導入して行っている、性交痛をなくす施術です。宣伝はしていなくて、みなさん口コミで来るそうです。需要があるということですね。
小島:要するに、閉経後にセックスをしている人がいっぱいいらっしゃるわけですね。
工藤:たくさんいますね。
小島:ということは相手がいるわけでしょう。男の人の方が、許容範囲が広いのかなと思うんですよ。
工藤:でも、おじいちゃんもシワシワですからね。
小島:確かにそうですね。
工藤:私も驚きましたが、後妻に行った女性たちは性生活を前提として行っているんです。私が「夏は暑いし冬は寒いからもういいじゃない。体形だって崩れているし」と言ったら、「バカね、そんなものは努力でいくらでも隠せるじゃないの。セックスするとき全部脱がなきゃいけないと思ってるの?」と言われました。
小島:大人ですね~。
工藤:「セクシーなネグリジェとか黒いスリップとか、いくらでも演出できるのよ」って。そうすれば垂れたおっぱいを見せなくてすむ。後妻さんなりの裏ワザがあるようです。
小島:なるほど、それで高級輸入下着のお店が成り立つんですね(笑い)。
工藤:お金を持っていて、バブル時代にいい思いをしている後妻さんは、高価なものを買うのに抵抗がないんですよ。後妻に行った途端に高級ブランドで280万円の指輪を買った人もいました。
小島:すごいですね。
工藤:物欲も性欲も名誉欲も全部生きるエネルギーになるから、欲があるうちが華なのかもしれません。
小島:それは配偶者をゲットするための武器にもなりますけど、女にとって終わらない戦いは、ほかの女からどう思われるかですよね。
工藤:なるほど、それはそうですね。
小島:そして、どこでその戦いから降りるか。
工藤:これが降りないんですよ。
小島:でも、ほかの女の目を意識しているから、長生きできて、若くいられるのかもしれない。私は工藤さんが本の中でお友達のことを包み隠さず書いているのが面白くて、爆笑しながら読みました。
工藤 :そうですか。だって友達が後妻になった途端にすごいお金持ちになるの嫌じゃありません?(笑い)