放送作家でコラムニストの山田美保子氏が独自の視点で最新芸能ニュースを深掘りする連載「芸能耳年増」。今回は、このところ絶好調のNHKドラマに注目。
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NHKのドラマがノリにノッている。
まずは、いよいよ残すところ一週間。平均視聴率で『花子とアン』や『ごちそうさん』超えが確実と言われている連続テレビ小説=朝ドラ。さらには三谷幸喜氏脚本、堺雅人主演の『真田丸』で視聴率が上向いた大河ドラマだ。
また、4月の話題は、これまで火曜日だった「ドラマ10」が金曜日に引っ越しすること。鈴木京香と長谷川博己が交際するきっかけとなり、“セカバー現象”を生んだ『セカンドバージン』の脚本家である大石静氏による『コントレール~罪と恋~』の主演は石田ゆり子で、恋の相手は井浦新。この“ねっとり感”は、火曜夜より金曜夜が相応しい。引っ越しは大正解だ。
木曜の「特集ドラマ」枠は舘ひろしと神田正輝による『クロスロード』。BSプレミアムの「プレミアムよるドラマ」は、柄本時生と元SKE48の松井玲奈の共演が話題の『初恋芸人』だし、「プレミアムドラマ」は黒木瞳、鈴木保奈美の『嫌な女』…と、確かに、こうして並べてみると、どれも話題に事欠かないし、民放ではなかなか真似のできないキャスティングや題材なのである。
終了してしまったが、「木曜時代劇」枠の『ちかえもん』は、ドラマ好きのコラムニストたちが連載で度々取り上げていたし、「プレミアムドラマ」『鴨川食堂』は、『~こいしと流の物語』というタイトルで番組の魅力を60分に凝縮した特別ドラマがオンエアされるほど好評だった。
NHKと民放とでは、ドラマの作り方にどんな違いがあるのだろうかと考えると、そう変わりはないように思う。原作モノが多いという傾向も、民放とNHKは似たようなものだし、大物をメインキャストにしてから周辺を固めていく順番もほぼ同じだろう。
が、民放がまず手を出さない原作モノや、会議で却下されそうな題材のドラマ化が得意なのはNHK。たとえば、最近でいうと『恋の三陸 列車コンで行こう!』(特集ドラマ)、『岡山発地域ドラマ インディゴの恋人』、『新春スペシャルドラマ 富士ファミリー』などがこれにあたる。
キャストについては、同局のドラマで名前や顔を売った俳優陣をまるで専属の“劇団員”であるかのように次々出演させるのがうまいのもNHKだ。
3月19日にスタートした「大河ファンタジー『精霊の守り人』」の主演は、大河ドラマ『八重の桜』のヒロインだった綾瀬はるか。今回は短槍遣いの女用心棒・バルサという役だ。
ファンタジーと言われると「子供が見るもの」と決めつけたり、食わず嫌いをしている人がいるかもしれない。かくいう私もその一人だったのだが、そんな視聴者とファンタジーとの距離を縮めるほど、スケールが大きく、撮影技術、CG、音楽、キャスト…、どれをとっても超豪華だし、時間をかけて丁寧に作られているという特徴がある。
初回オンエアの前に、番宣番組を見る機会にも恵まれた。昨今、NHKは、番宣番組でも民放を大きく突き放す内容とセンスが評判。『精霊の守り人』の場合も、原作者の上橋菜穂子氏の自宅を『あさが来た』の“ふゆ”清原果耶に訪問させたのを始め、裏方スタッフの仕事ぶりを丁寧に紹介したり、綾瀬=バルサの幼少期を演じる子役をナビゲーターにしたりと、見応え十分だった。ちなみに、清原果耶は、綾瀬演じるバルサの少女期を担当している。