また、『めざましテレビ』の木曜レギュラーにHey!Say!JUMP・伊野尾慧さんが選ばれたのも、ビジュアル化を象徴するトピック。これまで、『ZIP!』のTOKIO・山口達也さん、『あさイチ』(NHK)のV6・井ノ原快彦さん、『ビビット』(TBS系)の国分太一さんとNEWS・加藤シゲアキさん、『週刊ニュースリーダー』(テレビ朝日系)のTOKIO・城島茂さん、『シューイチ』(日本テレビ系)のKAT-TUN・中丸雄一さん、『サタデープラス』(TBS系)の関ジャニ∞・丸山隆平さんと、朝の報道・情報番組だけでも多くのジャニーズ所属アイドルが起用されてきましたが、まだ25才と若い伊野尾さんが選ばれたのは、ビジュアル優先の流れを受けていると思われます。
こうして全体を見てみると、「日本テレビのビジュアル化は徹底していて、その流れをフジテレビが追いかけている」という図式に気づきます。ライト層も含め、多くの人々に見てもらうためにビジュアルの美しさは大切ですが、重視しすぎると「肝心の中身で勝負できない」と認めているようなもの。知識や視点で専門家に劣る美形タレントが感想のような薄いコメントをすると、せっかくのニュースや情報が台なしになってしまいます。
それだけにビジュアル化のポイントは、「美形タレントが猛勉強で一定レベルのコメント力を身につけられるか」どうか。「私は専門家ではないから」という逃げ腰のスタンスではなく、プライドを持って臨んでいることが伝われば受け入れられると思います。
もともと美形タレントは、性格の良さ、庶民的な感覚、挫折や苦労などを感じさせなければ親近感を抱かれにくく、視聴者との距離を縮めることは難しいもの。各番組とも単にビジュアル化を進めるのではなく、男性なら羽鳥慎一さんやDAIGOさん、女性なら宇賀なつみアナや山崎夕貴アナのように「ビジュアルの良さと親近感をどう両立させていくか」が成否の鍵を握っている気がします。
【木村隆志】
コラムニスト、芸能・テレビ・ドラマ解説者。雑誌やウェブに月20~25本のコラムを提供するほか、『新・週刊フジテレビ批評』などに出演。さらに、タレント専門インタビュアーや人間関係コンサルタントとしても活動している。著書に『トップ・インタビュアーの「聴き技」84』『話しかけなくていい!会話術』など。