「保育園落ちた日本死ね!!!」のブログへの共感から湧き上がったママたちの怒りがいまや山を動かしつつある。待機児童の解消を求めるネットの署名活動はわずか48時間で2万件を超え、参院選前の「育児世代の反乱」を恐れた安倍晋三首相は慌てて対策に本腰を入れ始めた。
待機児童解消の旗手として一躍「時の人」となったのが山尾志桜里・代議士だ。5歳の男児を持つ山尾氏はブログをもとに国会で待機児童問題を追及し、議員会館を訪れたママたちから署名簿を受け取ると、「みなさんの気持ちが少しずつ政治を動かしている。この問題は与党も野党もない」と、一緒に塩崎恭久・厚生労働相に署名簿を突きつけたのだ。
その功績で山尾氏は当選2回生ながら民進党が結成されると政調会長に大抜擢された。
だが、署名に応じた2万人以上のママたちのほとんどが、実は議員会館の中に高度なセキュリティで守られた「豪華保育所」があり、山尾氏はじめ国会議員、秘書たちが恩恵を受けてきたことを知らないだろう。
キッズスクウェア永田町──衆院第二議員会館の地下3階に、そんな文字がドアに書かれた部屋がある。東京都の認証保育所(※注)で、総面積は約275平方メートル。屋外には154平方メートルの天然芝の園庭を備え、0歳児(生後57日)から就学前まで定員は34人。午前8時~午後9時まで預けることが可能だ。
【※注/東京都の保育所には「認可」「認可外」「認証」の3種類がある。認可保育所は国の設置基準を満たして都道府県知事に認可された施設で、公的補助によって保育料が最も安い。認可外保育所は公的補助が受けられないため、保育料が最も高い。認可外保育所の一種である認証保育所は東京都独自の制度で、認可保育所より預けられる時間は長いが、保育料は割高になる】
一般の人が出入りするには、空港にあるような金属探知機のゲートをくぐって厳重な手荷物検査を受けなければならない。おそらく「日本一安全な保育所」といえるだろう。
都の補助がある認証保育所は保育料の上限が定められており、3歳児未満が月額8万円、3歳児以上は月額7万7000円となっている。東京都心の認可外保育所の場合、同クラスの設備となると3歳児未満の保育料は月額14万円、3歳児以上でも月額12万円ほどが相場であり、料金的にも半分近い。