日本全国に5万店以上あり、飲食料品やもちろん、納税や公共料金の支払いに宅配便の取り扱いなど、「社会のインフラ」として、いまや現代人の生活にとって欠かすことのできないコンビニ。しかし、その裏側はあまり知られていない。このほど、『コンビニ店長の残酷日記』(小学館新書)で、コンビニの知られざる内幕や、そこで日夜繰り広げられるトンデモ客との攻防などを書いた著者で現役コンビニ店長の三宮貞雄氏に話を聞いた。
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「この本を書いたきっかけは、コンビニという社会インフラが現代日本社会にとって必要不可欠な存在になりましたが、その実情は知られていません。365日24時間営業の実態や、そこに関わる人間模様をみなさんに知ってほしいとの思いから執筆しました」
──仲間であるはずのスーパーバイザー(SV)に苦しめられるとは意外です。
「もちろん、中にはこちらのことを親身になって考えてくれるSVもいるんですが、自分のノルマを達成することだけを考えて、加盟店に無理な発注を強要してくるSVも多いんです。フランチャイズのコンビニオーナー(店長)と本部との契約は有期契約です。悪いSVになると、契約解除権や契約更新拒絶権をちらせつかせながら、推奨商品の大量発注や季節ごとのキャンペーンへの協力などを求めてくる。こちらは契約解除されるのが怖いから、ついつい唯々諾々と従わなくてはならないというのが実態です」
──キャンペーン商品にはノルマがあるとか。
「今年2月、ネットで、あるコンビニでの“恵方巻き大量破棄事件”が話題になりましたが、氷山の一角です。やはり悪いSVが大量発注をごり押しした結果、そんなに売れずに廃棄するしかないわけです。ただ、廃棄した分はすべて加盟店の負担になるから、どうしても店長自ら、そしてアルバイト従業員へのノルマが課せられてしまう。ノルマが達成できないと、自腹で何本も恵方巻きを購入するハメになります。このことを業界用語で“自爆”と呼びます」
──廃棄と聞くとお弁当などが思い浮かぶのですが。
「お弁当など消費期限が短い商品は、たとえばスーパーマーケットなどだと“タイムセール“で消費期限が近づくたびに値下げして売り切っていますよね。ときには半額セールとかしてまで。ところが、コンビニではこれが認められていないのです。そして、廃棄した商品は普通の会計では売上から引く”売上原価“に含まれることが普通です。しかし、コンビニ会計という特殊なシステムでは廃棄弁当は”営業費“から引かれてしまう。つまり、店の負担となってしまうのです。だから、私などはほぼ毎日、廃棄弁当を食べて生活費を浮かせています」