かつては「キレる若者」が問題となっていたが、最近では「キレる高齢者」が増えているという。3月20日には兵庫県加古川市でたばこをのポイ捨てを注意されたことに逆上した75才の無職男性が、6才の小1男児の首を絞めて逮捕されるという事件まで発生している。また、タクシーの運転手が急ブレーキをかけたところ、後部座席に乗っていた高齢者が「危ないじゃないか!」と激高。杖の持ち手部分でいきなり運転手を殴り、運転手は負傷。会社は事を荒立てたくないので被害届は出さず、ドライバーは泣き寝入りとなったという。
高齢者が集うことの多い病院でも、キレる高齢者が増えているという。東京慈恵会医科大学附属病院(東京・港区)は、2004年に「院内交番」と呼ばれる、患者クレーム対応を行う渉外室を設置した。ここに昨年3月まで勤務していた警視庁OBの横内昭光氏(同渉外室名誉顧問)が言う。
「この渉外室は悪質なクレーマー患者の暴言や暴力から、病院職員を守るためにできました。当時から、高齢の患者には悩まされました」
相談件数は年間200~300件。“最盛期”には警察OB6人が対応したという。
「入院時に箸を持ってくるのを忘れ、最初の食事の時に『どうやって食べるんだ!』と激高、職員を殴った高齢者もいました。お気に入りの看護師にプレゼントを渡した後、食事の誘いを断られて『なぜだ!』と逆上したおじいさんもいました。自分の子供のような年齢の医師に上から目線で『~に気をつけなさい』と注意され、カチンと来てクレームを入れる高齢者も多かった」(横内さん)
クレームや暴行事件はタクシー会社同様、病院もできるだけ穏便に対処を進めるが、それでも年間数件は警察に通報せざるを得ないという。
実際、私立大学病院医療安全推進連絡会議が11施設に調査したところ(2011年)、患者やその家族から暴力を受けたという職員は4割を超えた。暴力をふるった年齢は70代、セクハラは60代が最も多く、暴言は60代が2番目に多かった。病院の高齢者はやりたい放題なのだ。
ほかにもスーパーマーケットで「お客様は神様」との主張で我を通す老人も多い。