【自著を語る!】工藤美代子氏/『後妻白書 幸せをさがす女たち』/小学館/本体1400円+税
後妻。昨今では関西連続不審死事件の筧千佐子被告等々、「年配男性をたらしこむ財産狙いの毒婦」のイメージも強いが、それはより能動的で先進的な余生の形でもあると、工藤美代子氏(66)は言う。幾つになっても諦められない女たちと、寂しさを持て余す男たち。その交差点で何が起きているのか、『炎情――熟年離婚と性』等でも知られる氏に現代の後妻事情を訊いた。
* * *
私が熟年離婚や高齢者の性の問題を扱ってきたのも、一見恵まれた奥さんが突然離婚して仰天したり、閉経後の性交痛や性生活に悩む友人が多かったから。今回の『後妻白書』を書いたのも、筧事件が起きる前から、「彼女、結婚したんだって!」「相手は80代のおじいさん!?」みたいな話が身近に飛び交っていて、これはタダ事ではないなと取材を始めたのがきっかけでした。
考えてみれば高齢化が進み、生き方が多様化すれば、子育てを終えたとたん妻から離婚を切り出されたり、老後の性が問題になるのも当然の流れ。熟年離婚が増えれば後妻が増えるのもフツウの話なんです。
もちろん若い後添いをもらう男性は昔からいましたが、本書で言う〈新しいタイプの後妻〉は女性主導で60代が中心。人生を生き直すために後妻に入ろうとする。だから、婚活にも美容にも物凄く積極的なんです。彼女たちが求めるのは一に経済的な安定、二が性格的な相性で、〈別れを想定して後妻になる〉のも特徴です。
60代で婚活なんてと思うでしょ? でもマーケットはちゃんとあって、最近はデパートの屋上が出会いの場になっていたり、〈高齢者の発展場〉巣鴨では初対面の男女がラブホに入ることも珍らしくない。幾つになってもキレイにしている人には男がつくし、人間、歳を取るほど素材より気合です!(笑い)
今の若い世代と比べると、私たち団塊世代の女は結婚や生活設計を男に依存する傾向があったと思う。でも、この歳になって幸せは自分で掴まなきゃダメだと気づいたのが彼女たちで、美しくいるための努力も惜しまなければセックスも諦めてないし、あと20年か30年の残り時間を過去と決別してでも充実させようとする。