重い合併症によって最悪の場合死に至る糖尿病。患者は予備群も含めれば日本に2000万人いるといわれる。その予防・治療を巡って目下、最大の注目点となっているのが、食事療法を「カロリー制限」にするか「糖質制限」にするかという論争である。最新の医学的見地から、どちらが良いのか検証した。
●どちらがお金がかからないか
牛丼やハンバーガーといった安価な外食メニューは総じて糖質量が多い。コンビニの棚を見ても、おにぎりや菓子パンなど糖質だらけ。少しでも糖質制限をやってみるとわかるが、「炭水化物=安い」のである。この比較ではカロリー制限に軍配が上がる。
ただし、大ブームを受けて最近はコンビニでもロカボ(ローカーボ=糖質制限)のパンなどが売られるようになっており、“求めやすさの不均衡”は解消されつつある。
●既往症を気にすべきなのはどっちか
3大栄養素をバランスよく摂取するカロリー制限に比べて、糖質制限には取り組むうえで注意点が多い。東海大学名誉教授の大櫛陽一・大櫛医学情報研究所所長が解説する。
「脂質異常症でLDL(悪玉)コレステロールが250を超える人の場合、糖質制限が症状を悪化させる恐れもあります」
その他、膵炎、肝硬変、腎不全などの疾患がある場合には、糖質の代わりに摂取した肉や魚のたんぱく質を分解する際に腎機能や肝機能の負担が増す恐れもある。
「糖質制限する場合は決して自己流でやらずに医師の管理のもとで行ない、不安があれば医師に相談するべきです」(大櫛氏)