ライフ

偽オリーブオイルが日本にも上陸している背景とは

日本でも良質なオリーブオイルはできるのだが

 イタリアで偽装オリーブオイルが摘発された。しかも日本でも販売された形跡があるという。食文化に詳しい編集・ライターの松浦達也氏は日本の「偽オリーブオイル天国」に警鐘を鳴らす。

 * * *
 この数年、日本国内のオリーブオイル消費が急増している。その99%以上を輸入に頼るオリーブオイルは、輸入量がほぼそのまま国内の消費量に等しい。2008年までの輸入量は年間3万トン前後。以降、年間数%ずつの伸びを見せ、2013年には5万トンを突破。現在、年間約6万トンを輸入している。

 だが、輸入量や消費の伸びとは裏腹に、日本のオリーブオイル文化は醸成されてはいない。日本でも「エクストラバージン」が高級だということは知られてはいるが、この呼称が何を指すかは定義されないままだ。

 今年2月、ロイターは「警察によると、イタリアの偽装オリーブオイルは米国と日本で数千トンが販売された」と報じた。以前から、欧米ではオリーブオイルの偽装が問題視されてきたが、日本にも偽装オイルが上陸していたことが明らかになった。

 国際オリーブ協会(IOC)の基準ではオリーブオイルは、純度試験と品質検査によっていくつかのカテゴリーに分類されている。

1.果実をそのまま搾ったバージン・オリーブオイル
2.品質がいまひとつのオイルを精製した精製オリーブオイル
3.上記1と2をブレンドしたオリーブオイル

 この他にも分類はあり、さらに各カテゴリーのなかで細かく分類されている。われわれがスーパー店頭で見かける「エクストラバージン・オリーブオイル」は「バージン・オリーブオイル」カテゴリーのうちの最上級のものを指す……はずなのだが、実は日本には「バージン・オリーブオイル」という表示分類はない。

 日本のJAS規格にあるのは「オリーブ油」と「精製オリーブ油」というカテゴリーのみ。それぞれの定義は「オリーブ特有の香味を有し、おおむね清澄であること。酸価2.0以下であること」(オリーブ油)。「おおむね清澄で香味良好であること。酸価は0.6以下である」(精製オリーブ油)となる。明確にわかる両者の違いは数値くらいで、IOCの国際取引基準に沿った試験や検査もない。日本は偽装「エクストラバージン」名乗り放題の国なのだ。

 もっとも、国産の「オリーブ油」の品質が低いわけではない。この数年、小豆島産など複数のオリーブオイルが国際的なコンテストで続々と上位入賞を果たしている。”JAPAN Quality”ここにあり。最近ではオリーブオイル新興国の品質向上もめざましい。新興国のチリからは収穫後すぐに搾ることで、劣化の指標となる酸度が0.2%以下(エクストラバージンオイルの基準は0.8%以下)という上質な製品も輸入されている。

関連記事

トピックス

広末涼子(時事通信フォト)
【自称・広末涼子容疑者が逮捕】「とってもとっても大スキよ…」台湾フェスで歌声披露して喝采浴びたばかりなのに… 看護師女性に蹴り、傷害容疑
NEWSポストセブン
北極域研究船の命名・進水式に出席した愛子さま(時事通信フォト)
「本番前のリハーサルで斧を手にして“重いですね”」愛子さまご公務の入念な下準備と器用な手さばき
NEWSポストセブン
麻布台ヒルズの個展には大勢の人が詰めかけている
世界的現代美術家・松山智一氏が問いかける“社会通念上の価値の正体” 『うまい棒 げんだいびじゅつ味』で表現したかったこと
週刊ポスト
自宅で亡くなっているのが見つかった中山美穂さん
《中山美穂さん死後4カ月》辻仁成が元妻の誕生日に投稿していた「38文字」の想い…最後の“ワイルド恋人”が今も背負う「彼女の名前」
NEWSポストセブン
工藤遥加(左)の初優勝を支えた父・公康氏(時事通信フォト)
女子ゴルフ・工藤遥加、15年目の初優勝を支えた父子鷹 「勝ち方を教えてほしい」と父・工藤公康に頭を下げて、指導を受けたことも
週刊ポスト
山口組分裂抗争が終結に向けて大きく動いた。写真は「山口組新報」最新号に掲載された司忍組長
「うっすら笑みを浮かべる司忍組長」山口組分裂抗争“終結宣言”の前に…六代目山口組が機関紙「創立110周年」をお祝いで大幅リニューアル「歴代組長をカラー写真に」「金ピカ装丁」の“狙い”
NEWSポストセブン
中居正広氏と報告書に記載のあったホテルの「間取り」
中居正広氏と「タレントU」が女性アナらと4人で過ごした“38万円スイートルーム”は「男女2人きりになりやすいチョイス」
NEWSポストセブン
Tarou「中学校行かない宣言」に関する親の思いとは(本人Xより)
《小学生ゲーム実況YouTuberの「中学校通わない宣言」》両親が明かす“子育ての方針”「配信やゲームで得られる失敗経験が重要」稼いだお金は「個人会社で運営」
NEWSポストセブン
『月曜から夜ふかし』不適切編集の余波も(マツコ・デラックス/時事通信フォト)
『月曜から夜ふかし』不適切編集の余波、バカリズム脚本ドラマ『ホットスポット』配信&DVDへの影響はあるのか 日本テレビは「様々なご意見を頂戴しています」と回答
週刊ポスト
約6年ぶりに開催された宮中晩餐会に参加された愛子さま(時事通信)
《ティアラ着用せず》愛子さま、初めての宮中晩餐会を海外一部メディアが「物足りない初舞台」と指摘した理由
NEWSポストセブン
大谷翔平(時事通信)と妊娠中の真美子さん(大谷のInstagramより)
《妊娠中の真美子さんがスイートルーム室内で観戦》大谷翔平、特別な日に「奇跡のサヨナラHR」で感情爆発 妻のために用意していた「特別契約」の内容
NEWSポストセブン
沖縄・旭琉會の挨拶を受けた司忍組長
《雨に濡れた司忍組長》極秘外交に臨む六代目山口組 沖縄・旭琉會との会談で見せていた笑顔 分裂抗争は“風雲急を告げる”事態に
NEWSポストセブン