いまのようにアイドルがネットで情報を発信することも握手会で触れ合うこともなかった時代に、気になる彼女の“素顔”を教えてくれたのは「雑誌」だった。とりわけ数多くの人気アイドルを輩出したのが、『BOMB!』と『Momoco』(ともに学研刊)の“姉妹誌”だった。
1980年代は伝説のアイドルが次々と登場した「アイドル黄金期」だった。そんな彼女たちの魅力を映し出し、スターへと羽ばたかせていた2冊の青春マガジンがあった。アイドルライターの北川昌弘氏が振り返る。
「アイドルの魅力を掘り下げて紹介し、さらに人気者にした『BOMB!』と、全国から素人を発掘して、売れっ子にまで育てあげた『Momoco』。そんな棲み分けをしていたこの2誌が、アイドルブームを支えていた。両誌ともアイドルの水着グラビアやポスターが巻頭から盛り沢山で、青少年たちは夢中になって読んでいたものです」
1979年に創刊した『BOMB!』は現在も続く長寿アイドル誌だ(現在は『BOMB』)。創刊当初は読者による投稿誌だったが、1980年10月号で、芸能界引退を発表していた山口百恵を特集した「惜別大特集・山口百恵」が転機となった。
この号が大ヒットしたことで、後に続く「アイドル専門誌」の路線が定着し、それ以降も松田聖子、薬師丸ひろ子、石川秀美、河合奈保子、小泉今日子らトップアイドルが誌面を彩った。
数あるアイドル誌の中でも『BOMB!』が突出していたのが、トップアイドルへの「攻めすぎ」インタビューだ。当時の制作スタッフが語る。
「『BOMB!』のインタビューは、頭の中がエッチなことだらけの男性読者が最も知りたい質問を、アイドルにぶつけていた。当時のアイドルは赤裸々に答えてくれるケースもありましたが、あまりの粘っこさに現場では事務所と揉めることもあった」