スポーツ

角居勝彦調教師 皐月賞は可能性秘めた馬が集まるごった煮

 皐月賞はクラシック三冠の緒戦。角居厩舎では2010年にヴィクトワールピサがこのレースを勝っているが、彼を語るレースはやはりドバイや有馬記念になってしまう。それはなぜか。数々の名馬を世に送り出した調教師・角居勝彦氏による週刊ポストでの連載「競馬はもっともっと面白い 感性の法則」より、様々な可能性を秘めた馬たちが集う皐月賞について解説する。

 * * *
 大目標はやはりダービー。ダービーを目指す馬が皐月賞で勝てれば三冠が見えてくる──というイメージでしょうか。4着馬までにダービーの優先出走権を得られることもあり、どうしても注目度が割引される。

 ですが、馬にとっては一生に一度の大舞台。そして皐月賞ならではの妙味があります。薫風になびく新緑のように、揺れ動く魅力といいましょうか……。

 成長過程の3歳馬。いわば中学1年か2年生の競走です。スピード自慢ながら、自分の適性能力がまだはっきりとしていない時期です。

 舞台も揺れている。中山の芝は最終週で荒れ模様だし、冬から初夏へ、雨も増えて馬場が重くなるタイミングです。堅い芝を軽く走る速い馬も通用しそうだし、パワーもスピードもある馬でも行けそうだし。適性が見極めにくいのです。

 それだけに、様々な可能性を秘めた馬が集まってくる。“ごった煮”と言ってもいい。それはそれで食材の味わいが絡み合って美味しい。

 角居厩舎の皐月賞初参戦は2009年のトライアンフマーチ。前走の若葉Sでようやく出走権を取り、8番人気ながら2着と好走しました(1着はアンライバルド)。桜花賞馬キョウエイマーチの子供で潜在能力が高く、スピードに勝ちすぎたところがあり、主戦の武幸四郎と共に調教に苦労した思い出があります。

 続くダービーでは14着。菊花賞も9着でした。その後はマイル戦、1400メートル戦でオープン勝ちしています。重賞では2010年マイラーズCで2着、同年安田記念は4着。7歳になっても京都金杯で連対するなどマイラーの適性がありましたが、3歳時点ではやはりクラシックにこだわりたかった。

関連キーワード

関連記事

トピックス

希代の名優として親しまれた西田敏行さん
《故郷・福島に埋葬してほしい》西田敏行さん、体に埋め込んでいた金属だらけだった遺骨 満身創痍でも堅忍して追求し続けた俳優業
女性セブン
越前谷真将(まさよし)容疑者(49)
《“顔面ヘビタトゥー男”がコンビニ強盗》「割と優しい」「穏やかな人」近隣住民が明かした容疑者の素顔、朝の挨拶は「おあようございあす」
NEWSポストセブン
NASAが発表したアルテミス計画の宇宙服のデザイン(写真=AP/AFLO)
《日本人が月に降り立つ日は間近》月面探査最前線、JAXA「SLIM」とNASA「アルテミス計画」で日本の存在感が増大 インドとの共同計画や一般企業の取り組みも
週刊ポスト
歌舞伎俳優の中村芝翫と嫁の三田寛子(右写真/産経新聞社)
《中村芝翫が約900日ぶりに自宅に戻る》三田寛子、“夫の愛人”とのバトルに勝利 芝翫は“未練たらたら”でも松竹の激怒が決定打に
女性セブン
天皇陛下にとって百合子さまは大叔母にあたる(2024年11月、東京・港区。撮影/JMPA)
三笠宮妃百合子さまのご逝去に心を痛められ…天皇皇后両陛下と愛子さまが三笠宮邸を弔問
女性セブン
胴回りにコルセットを巻いて病院に到着した豊川悦司(2024年11月中旬)
《鎮痛剤も効かないほど…》豊川悦司、腰痛悪化で極秘手術 現在は家族のもとでリハビリ生活「愛娘との時間を充実させたい」父親としての思いも
女性セブン
ストリップ界において老舗
【天満ストリップ摘発】「踊り子のことを大事にしてくれた」劇場で踊っていたストリッパーが語る評判 常連客は「大阪万博前のイジメじゃないか」
NEWSポストセブン
弔問を終え、三笠宮邸をあとにされる美智子さま(2024年11月)
《上皇さまと約束の地へ》美智子さま、寝たきり危機から奇跡の再起 胸中にあるのは38年前に成し遂げられなかった「韓国訪問」へのお気持ちか
女性セブン
野外で下着や胸を露出させる動画を投稿している女性(Xより)
《おっpいを出しちゃう女子大生現る》女性インフルエンサーの相次ぐ下着などの露出投稿、意外と難しい“公然わいせつ”の落とし穴
NEWSポストセブン
田村瑠奈被告。父・修被告が洗面所で目の当たりにしたものとは
《東リベを何度も見て大泣き》田村瑠奈被告が「一番好きだったアニメキャラ」を父・田村修被告がいきなり説明、その意図は【ススキノ事件公判】
NEWSポストセブン
結婚を発表した高畑充希 と岡田将生
岡田将生&高畑充希の“猛烈スピード婚”の裏側 松坂桃李&戸田恵梨香を見て結婚願望が強くなった岡田「相手は仕事を理解してくれる同業者がいい」
女性セブン
注目集まる愛子さま着用のブローチ(時事通信フォト)
《愛子さま着用のブローチが完売》ミキモトのジュエリーに宿る「上皇后さまから受け継いだ伝統」
週刊ポスト