こうして禁煙成功率の低さに触れると、「治療は保険を適用してまでやることなのか」という大きな疑問が沸いてくる。ネット上ではこんな声も溢れている。

〈たばこをまったく吸わない人が、保険料から他人の禁煙治療費を負担するなんてどう考えてもおかしい!〉

〈たばこは法で認められているのに、禁煙対策に保険を適用するのは明らかに矛盾している。喫煙者は自己責任で禁煙するべきだ〉

〈禁煙外来は医者が診療報酬を上げる格好のネタになっているのでは? 患者の治療継続率や禁煙成功率に基づいて医療機関ごとに報酬点数の差をつけてもいいと思う〉

 そもそも、医療機関で治療を受けなくても禁煙に成功する人は少なからずいる。

 製薬会社のファイザーが2015年に発表した「喫煙に関する47都道府県追跡調査」では、禁煙成功者にその方法を訊ねている。すると、〈自分の意思のみ〉と答えた人が81.7%と断トツに多かった一方で、〈禁煙外来の受診〉はわずか6.2%だった。

 同様の調査は厚労省の研究事業(2013年)でも行われているが、禁煙成功者の約95%は医療機関、行政機関、職場などのサポートは一切受けず、ニコチンパッチやニコチンガムといった禁煙補助具も使用していなかった。

 効果の上がらない禁煙治療に無駄な医療費が注ぎ込まれている実態、そして自助努力によっても禁煙は十分に可能であることを示す様々なデータが出ている以上、「禁煙対策」を根本から考え直す必要もあるだろう。

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