東京・原宿の一等地に建つ東郷神社。日露戦争の英雄、海軍元帥・東郷平八郎を祀る名門神社である。崇敬者の団体である「東郷会」は吉田茂元首相を始め大物たちが歴代会長を務め、全国の神社の中でも抜きんでた格式を誇る。そんな東郷神社において“内紛”が勃発しているのだという。同神社関係者が語る。
「3月30日、神社トップである福田勉・宮司が、ナンバー2である氷室千春・権宮司に『解雇通知書』を突き付けたのです。しかし、権宮司は辞任を拒んで神社に出仕。年度初めの恒例行事である関係者全員の記念撮影に、来ているにもかかわらず権宮司だけが入らない事態が起きたんです」
問題の根本にあるのは、東郷神社が抱える2つの結婚式場を巡っての派閥抗争だという。前出の関係者が続ける。
「東郷神社の境内には東郷記念館という結婚式場があり、古くから“ブランド結婚式場”として知られている。一方で東郷神社に隣接する土地に、2009年に『ルアール東郷』という新しい結婚式場が東郷神社の出資でできた。この2つの結婚式場の運営をめぐって、派閥対立が生じたのです」
ルアール東郷の土地は、東京都が持つ公有地。そこに建つ高層ビルの中に、東郷神社が出資する「株式会社ルペイドレスト」がテナントとして入り、ルアール東郷を運営している。今回、解雇通知を突き付けられた氷室権宮司は、この会社の社長でもある。
「この土地は戦前、東郷神社のものだった。敗戦でGHQに接収され、その後東京都の所有になった。10年ほど前に開発計画が持ち上がったとき、そんな経緯から東郷神社に声がかかり、結婚式場として入ることになったのです。
神社の関係会社だから社長には氷室権宮司が就くことに。しかし昔から東郷神社には東郷記念館という結婚式場がある。『商売敵を自分の手で作るのか』という不満が神社内から上がりました。福田宮司もその一人で、そこから宮司派vs権宮司派の対立が始まったのです」(同前)