だが、こうしたバラエティに富んだテーマパーク的な構成も、いまや当たり前の潮流となっている。流通アナリストでプリモリサーチジャパン代表の鈴木孝之氏がいう。
「イオンやららぽーとでも、子供に職業体験をさせる施設や学習・料理教室、ボルタリング体験やスポーツ施設の併設、広場を使ってのライブや展示会など、モノからコト消費へのスペースを増やして集客力を高める戦略になっています」
ならば、アリオは今後さらなる特徴を打ち出さなければイオンやららぽーとの牙城を崩せないということか。
「大型モール事業は後発組でノウハウや蓄積が少ない分、アリオブランドを高めることは容易ではないでしょう。しかし、柏のように商圏人口の多い開発立地はまだ残っていますし、社会的ニーズの高い保育所や介護施設、医療クリニックなどを複数誘致したゾーンを設けるなど、地域コミュニティーと連携することで発展させる手もあるでしょう。
その一方、都市部の再開発により、郊外型から“都市型モール”への注目度が高まっています。セブン&アイは昨年、武蔵小杉駅前(神奈川県川崎市)に『グランツリー武蔵小杉』をオープンさせ好調なように、今後は交通の便がよい中心部の業態開発が重要になります。そこで、好立地ながら不振が続くイトーヨーカ堂を上質なSCや小型モールに生まれ変わらせることで活性化も図れるでしょう」(鈴木氏)
しかし、駅前SC戦争では、各百貨店はもちろん、イオンもダイエー子会社のファッションビル「OPA」を持っているほか、「パルコ」(Jフロントリテイリング)やJR東日本の駅ビルなど競合がひしめき合っている。
コンビニでは独り勝ちでもショッピングモールはチャレンジャーの立場といえるセブン&アイグループ。まずは年間1300万人の集客を見込むアリオ柏でどれだけ常連客を囲い込むことができるかが、SC事業の今後を占う意味で大きな試金石となるだろう。