4月から新編「大坂編」に入り、視聴率が右肩上がりのNHK大河ドラマ『真田丸』。その魅力の一つが、三谷幸喜・脚本が描く個性豊かな武将たちのキャラクターだ。戦乱の世を生き抜いた彼らの「末裔」を訪ねた。
「『よくぞまぁ、ご先祖様は生き残ってくれた』と日曜の夜は毎週ハラハラしながら観ていますよ。なにせ“私が存在するか否か”にかかわるわけですからね」
大泉洋演じる真田信幸の子孫で、真田家14代目当主の真田幸俊氏(47)は笑いながら語る。“殿”の職業は、慶応大学理工学部電子工学科の教授。「次世代の携帯電話の通信ネットワークの研究」に勤しむ。
「1985年のNHKドラマ『真田太平記』では、渡瀬恒彦さん演じる信幸は切れ者として描かれていました。それに比べると今回の信幸は父・昌幸(草刈正雄)の前でおどおどしたり、自分は認められていないと悩んだりする。実際の信幸は非常に実直でまっすぐな人だったと伝わっているので、『真田丸』のほうが実像に近いように思えますね」
真田家では、当主は代々名前に「信」か「幸」の字をつけるという。幸俊氏は「父も祖父も『幸』の字のつく名前でした。そんなにたくさんパターンはないから、息子の名前を考える時には苦労しましたよ」と苦笑する。
「地元の信州では車を運転していても緊張する。もし違反切符を切られて名前を見られるようなことがあれば、真田家の人間であることがバレバレになる名前ですから(笑い)」
当主として、現代でもやるべきことは多い。
「毎年10月の『真田十万石まつり』への出席、7年に一度に行なわれる善光寺の御開帳では回向柱となる神木の奉納に立ち会う。それ以外にも、当家ゆかりの方々や真田ファンで構成する『真田会』への出席など、忙しくも楽しい毎日を過ごしています」
※週刊ポスト2016年5月6・13日号