数々の名馬を世に送り出した調教師・角居勝彦氏による週刊ポストでの連載「競馬はもっともっと面白い 感性の法則」。かつては、3歳時にクラシックを戦ってきた馬をこの時期に仕上げて京都、春の天皇賞に臨んだものだ。しかし、近年、角居厩舎では天皇賞参戦を回避するケースが増えている。その理由について角居氏が語った。
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天皇賞(春)を角居厩舎は一度も勝っていません。菊花賞を勝った馬が勇躍するイメージがありますが2004年のデルタブルースは菊花賞に続けてJC(3着)、有馬記念(5着)と使ったこともあり、翌年春は全休。その後は3回(2006年、2007年、2009年)このレースを使いましたが、もうひとつの結果でした。
一方、2013年の菊花賞馬エピファネイアは出走しなかった。3000メートルでもどうかというくらいで、折り合いが難しいと判断しました。自信に翳りのあるレースに出馬することには、どうしても抵抗がある。同じ意味合いで、ヴィクトワールピサもルーラーシップも使っていません。
種馬にしたい馬にとって、天皇賞を使う意味があるのか、という問題もありました。馬を預かる以上、適性を伸ばして活躍させ、生産界に返す。角居厩舎ではそれだけではなく、価値のある形で返したい。この理念にブレはありません。それを突き詰めると、どの馬にどのレースを走らせるかが見えてきます。やはりスタミナよりもスピード重視が時代の流れです。ドバイの方がより魅力的なのは仕方のないところでしょう。