2011年の東日本大震災後は子供の未来を奪われる危機感から脱原発デモが盛んになり、昨年は安倍政権が進める安保法案に反対するデモが全国各地で行われ、多くの女性が参加した。
また、「保育園落ちた日本死ね!!!」と書かれた匿名のブログからの広がりから、安倍政権は保護者の都合で一時的に子供を預けられる「一時預かり」を充実させるなどの緊急対策をまとめた。まだまだ不充分といわざるを得ないが、長く放置された待機児童問題がほんの一歩でも前に進んだのは、女性が声を上げて訴えたからだ。
民進党の政調会長である山尾志桜里衆議院議員(41才)が言う。
「ブログを書いたお母さんがいて、それを拡散したお母さんがいる。署名活動を呼びかけるお母さんや国会で静かなデモをしようというお母さんが現れ、“じゃあ私はプラカードを作る”“私は国会で立ってみる”と母親の輪がどんどん広がっていきました。私は首相に質問をするお母さんの役割を全うしただけです。ママたちの声が幾重にも積み重なって政治が動いたことは、女性にとってものすごく大きな希望だと思います」
フェイスブック上の女性グループ「全日本おばちゃん党」の代表代行で大阪国際大学准教授の谷口真由美さん(41才)はこう語る。
「一部の女性のための運動で終わらないようにしないといけない。でないと、それ以外の女性に伝わらず、むしろ女性同士で敵対して、その陰で既得権を持つオッサンがほくそ笑む。この先は、普通の女性イコールおばちゃんが女性の問題に取り組むべきです。
政治に期待できないと思う気持ちは理解できますが、政治家の姿は私たちの社会の映し鏡です。女性政治家が少ないのは、それだけ社会で女性が軽んじられているからなんです。“どうせ政治なんて…”と諦めたら、ハイおしまい。お任せ民主主義ではなく、自分から責任を引き受けることが大事なんです」
そうした女性の声は、首相公邸からも上がっている。安倍首相夫人の安倍昭恵さん(53才)、その人だ。