地下アイドルファンは、新しい服をおろすと、特注の衣装でなくても「新しいね!」と声をかけてくれるくらい、衣装には敏感です。ですから特注のオリジナル衣装が出来た時は、本人と同じくらい、ファンの人も喜んでくれます。そういう特別な衣装はワンマンライブや、自分が主催のライブイベントに合わせて作る子が多く、私もそうしています。
普段、既製品を着ていると、反動で特注の衣装は凝ったデザインになるため、多くの地下アイドルが、レースやリボン、造花などをふんだんにあしらった衣装を製作します。これはさすがに私服にはできないのですが、記憶に残りやすいので舞台上で連日着るのは避けたいところです。しかし、ワンマンライブの翌日に同じ特注の衣装を着ている子を見ると、新しい衣装嬉しかったんだろうなあと思って、いつも温かい気持ちになります。
事務所に所属していたり、グループで活動しているとコンセプトに沿った衣装を揃えるので、既製服ではなく、きちんとしたオリジナルの衣装を着る機会が多くなります。それでも、やはり地下アイドルです。替えがなく同じ衣装を着続けることが多く「早く洗濯したい……」とぼやいていたり、サイン会の時に付いたペンの跡が残っていたりと、親近感の湧くエピソードが多いです。
ここまでの事情説明だと、女の子たちがあまり喜ばないような衣装が多いように感じるかもしれません。でも私は、「この衣装着たくない」という地下アイドルの声を、あまり聞いたことがありません。アイドルというと、大人に「やらされている」イメージがあるかもしれませんが、地下アイドルは自分で意思を持って活動できる文化です。女の子本人が自分のやりたいこと、なりたいものを選びとることができます。
アイドルファンからはよく「プライベートの本当の姿はわからない」と嘆きにも似た声を耳にします。でも、地下アイドルの場合は衣装を自分の趣味で選んでいます。衣装の雰囲気から、彼女たちの本当の姿がふんわりとつかめますよ。