SNSのプライベート写真やテレビ番組の密着、写真週刊誌にキャッチされたプライベートショット――芸能人の私服を見ているとなぜだか黒い服が多い。有名なところでは、綾野剛。黒が好きなようで、公私ともに真っ黒コーデばかりだ。他にも、全身黒服を着ることの多い中島美嘉やモデルのシシド・カフカ、秋元梢など、アーティスティックな雰囲気の芸能人にも多く見られる。
色彩心理学でみると、黒色は「威圧感」「高級感」「神秘的」といったイメージを与え、黒が好きな人の性格は、弱い自分を隠して強く見せたい、こだわりが強い、自信過剰、粘り強い、感受性が強く人と距離を置きたい、秘密主義、芸術肌…といった面があるという。
そもそも、なぜ芸能人の私服は黒ずくめなのだろうか。ファッションライターの川口ゆかりさんは、こう語る。
「プライベートで目立たないようにというのもあると思いますが、黒は何色にも染まらない色であることから、自己主張の表れや信念のようなものを感じます。自分に自信がないと着られない色ですしね。また、全身真っ黒はチープに見えてしまったり、ちょっと間違えるとダサく見えてしまう危険も。その人に華がないと着こなせないし、おしゃれに見せるのは実は難しい色です。誰にでも似合う色ではなく高度な色だからこそ、先端を行きたい芸能人は、選んでいるのかなと思います」(川口さん、以下「」内同)
あえてブランドがわかりにくい服を着る芸能人が多い一方、ハイブランドを好んで着る芸能人も。
「黒好き男子に人気なのはコム デ ギャルソン・オムやYAECAなどでしょうか。ハイブランドだと三代目 J Soul Brothersの人はサンローランをよく着ている印象を受けますね。海外コレクション好きの女性には、オープニングセレモニーやT by アレキサンダーワン、TOGAなど、いずれもひと癖ある黒が揃うブランドが人気です」
近ごろ、巷にも全身黒のスタイルが増えているのは、芸能人の影響を受けているのだろうか? 川口さんは、こう分析する。
「芸能人の影響ではないですね。黒は今、おしゃれアイコンの色になっています。夏は、暑苦しく見える黒は避けて、涼しげに見える白やブルーが定番でしたが、去年くらいから夏に黒の着こなし特集が組まれているほど、ファッション誌でも人気の色です。なぜ黒が人気なのかというと、女性もかわいく見せることやモテよりも、強めに見える黒でかっこよく見せたいという流れが背景にあるんです。
最近では“ハンサム”という言葉がキーワードになっていて、異性よりも同性にモテたい、かっこいい、一歩先を行く人に憧れる風潮があります。また、黒には着やせ効果やモードな雰囲気も持ち合わせているので、個性的に見せるのにはうってつけの色。実際、スタイルとして貫き通している人がいるとかっこいいと思いますし、カリスマ性も感じられます」
また、性別や世代によっても黒を好む理由は分かれるという。