「家やマンションを買ったばかりで被災すれば、自宅を失った上に、住宅ローンは丸ごと残るといった最悪の事態に陥りかねません。被災後、ローンだけでも軽減できるよう備えとして地震保険を活用したい」
住宅ローンを組んでしばらくの間は、保険料は高いが手厚い内容の補償に入り、ローン残高が減るのに合わせて保険金額を減らすのも一つの手だ。
預金や財産の少ない人も地震保険に加入したほうがいいという。蓄えがなければ、被災してすぐに生活は追い詰められるが、地震保険で当面の生活資金を賄えれば、苦境も回避できる。
「収入源が1つに集中している人も加入の必要性は高いでしょう。自営業だと被災時に家を失うと同時に収入も断たれる可能性が大きい。会社員でも震災後、勤務先が事業をすぐ再開できるかなど未知数の部分があります。被災後の収入をいかに確保するかは切実な問題です」(平野氏)
逆に、ローン返済が済み、預金もあり地震リスクの低い地域に住んでいる人は、地震保険によるメリットはそれほど大きくない。いざという時に後悔しないためにも、いまこそ再考するいいタイミングなのではないだろうか。
※週刊ポスト2016年5月20日号