真珠腫性中耳炎の唯一の治療は手術だ。少しでも残っていると再発するので、すべてを取り除く必要がある。
「耳の後ろや耳内を切開し、顕微鏡あるいは内視鏡下に観察して骨を削りながら真珠腫を取り除きます。耳小骨が破壊されている場合は、耳小骨も真珠腫と一緒に取り除きます。問題は耳小骨を取ると伝音難聴が起こること。通常は真珠腫を取り、半年から1年おいて再発がないことを確かめて再度、音を伝える再建手術を行ないます。
しかし当院では、真珠腫を完全に取ったのち耳の軟骨から耳小骨の代替を作り、音を伝える仕組みを作り直す伝音再建も同時に実施しています」(神尾院長)
軟骨は皮膚切開部から採取するので、通常の手術で対応可能だ。切除した軟骨を耳小骨の破壊に応じ、1枚から3枚重ねて中耳に再建する。
術後はめまいや耳鳴りが起こる可能性もあり、数日間の入院が必要だ。
■取材・構成/岩城レイ子
※週刊ポスト2016年5月20日号