モテ車を解説する「週刊ポスト」連載の「死ぬまで カーマニア宣言!」。これまでにクルマを40台買ってきたフリーライター・清水草一氏(54)が、ヤング・クラシックブームに乗って人気が上昇しているマツダ・ロードスターについて解説する。
* * *
ご同輩諸君。先日、マツダ・ロードスターが「世界カー・オブ・ザ・イヤー」の大賞とデザイン賞をダブル受賞したというニュースがあった。
「世界カー・オブ・ザ・イヤー」は、25か国・66人の選考委員によって選ばれる。これまでの受賞車を見ると、VW・ゴルフや日産・リーフなど、先進性と普遍性を兼ね備えたスタンダード車が中心で、スポーツカーの大賞受賞はロードスターが初めて。とにもかくにもおめでたいことである。
確かにロードスター(現行モデルは4代目)は素晴らしいクルマだ。軽量かつ小柄でグラマラスなボディはまるで女優。走りも実に楽しい。見た目や乗り心地も上質で、美女との温泉ドライブにもうってつけだろう。
その一方で、初代ロードスターの人気も、今静かに上昇している。初代ロードスターとはつまり、「ユーノス・ロードスター」と呼ばれたあのクルマだ。当時は「ユーノス」と略されることも多かったが、ユーノスとは当時マツダが展開していたディーラー網の名称で、トヨタで言えば「トヨペット」とか「ネッツ」みたいなもの。車名はロードスターだ。
初代ロードスターが発売されたのは1989年。すでに27年を経ている。その間、カーマニアの間では根強い人気を保ち続けていたが、最近になって人気が上昇気味なのである。背景には、近年のヤング・クラシックブームがある。クラシックカー一歩手前くらいの、適度に古い中古車を愛でる趣味に、ロードスターはうってつけなのだ。
ごく最近、初代ロードスターの中古車を手に入れた筆者友人の伊達氏(48歳)は、購入理由をこう説明する。
「ロードスターが登場したのは、自分が20歳の頃でしたが、天使のようなクルマだと思いました。それが今、ちょうどいい枯れ感が出ている気がします。宮沢りえみたいな感じでしょうか」