中卒で地元暴走族の総長となり、現場仕事を転々とした後に一念発起して早稲田に入学した生徒。高卒で一度は地元企業に就職したものの、「大卒じゃなければ出世はできない。やっぱり大学に行きたい」と会社を辞めて受験勉強に励む生徒。
一心不乱に勉強し、早稲田や青山学院、筑波など有名大学に合格した生徒たちは、留学したりインターンしたり夢を広げ、大手企業に就職した子もいる。就活生たちの悲鳴にはこんな声もある。
「今年も就活は8月から始まると思ったから留学しようと準備していたのに、6月に前倒しになったせいでとりやめた。留学したいけど、新卒で就職しないと正社員になれないかもしれない」
一本道を逸れてしまったら、まるで未来はないように思わせてしまう社会のなか、多くの子供たちに足りないのは、そんな「回り道」なのだ。
「もちろん誰もが高校を中退する必要もないし、非行に走らなければいけないわけでもありません。だけど、今の日本の教育はちょっとの立ち止まりも許されないような空気があります。目の前の受験、目の前の就活を“こなす”ことが目標で、本当に自分はどんなことがしてみたいのか考える時間や方法がない。浪人したり、留年したり、ニートをしながらいろんな社会経験を積むことで見つかる夢もあるのに、一度“普通の道”というレールから外れてしまうとやり直しができない社会になっている気がします」(藤岡さん)
大学4年間は「人生で最も自由な身分」だといい、だからこそ「なににでもチャレンジしてほしい」と背中を押す。
「会いたい人に会いに行く、企業のインターンを経験したりボランティア活動をしたり、バックパッカーで貧乏旅行をしたり、大学生はどんなこともできる特権階級です。それをサークルや飲み会や恋愛やバイトばかりに時間を費やすのはもったいない。
“浪人せずになんとなく行ける大学”に進学してしまうと、大学時代をなんとなく過ごしてしまう。その4年間でどんなことをしたか、どんな人に会ったか、世界がどう広がったか、それが就活、将来につながるはずです」(藤岡さん)
※女性セブン2016年6月2日号