スポーツ

河埜から坂本まで……熾烈を極める巨人のショート争いの歴史

 開幕前、野球賭博問題の影響が懸念された巨人だが、主将2年目を迎えた坂本勇人が首位打者争いを演じ、チームも好調をキープしている。2年ぶりの覇権奪回に燃えている巨人はロッテからクルーズ、NYヤンキースからギャレットを獲得するなど、今年も補強に余念がなかった。

 巨人の大型補強といえば、1993年オフにFA(フリーエージェント)制度が導入されてから顕著になったが、V9時代にも南海のクリーンアップを打っていた富田勝、大洋で本塁打王に輝いたことのある桑田武などをトレードで獲得。FAも逆指名ドラフトもなかった1980年代も、大洋から松原誠、西武から高橋直樹、近鉄から有田修三、阪急から加藤秀司といったベテランを補強。常に万全の戦力でシーズンに臨んでいた。

 特に、競争の激しかったポジションはショートだった。1970年代から遊撃の座を死守し続けていた河埜和正がベテランに差し掛かった1984年、ドラフト1位で慶應大学の上田和明、2位で三田学園の藤岡寛生が入団。石渡茂、鴻野淳基、川相昌弘、西本和美とチーム内に遊撃手が7人も集まる飽和状態が生まれた。

 筑波大学から1981年にドラフト外でプロ入りした西本和美は、巨人初の国立大学出身選手として注目を集めた。1984年9月の大洋戦では、スタメンで起用され猛打賞を記録。期待が大いに高まった。しかし、翌年の開幕直前に日本ハムへトレードされ、1986年限りで現役を引退している。

 藤岡も大量補強の壁に悩まされた一人だ。1987年、イースタンリーグで打点王を獲得したものの、一軍昇格はなし。当時のショートは岡崎郁、鴻野淳基らがレギュラーを争い、川相昌弘は控えに甘んじ、スイッチヒッターに挑戦するなど模索を繰り返していた。球団はそこに加えて、1986年のドラフトで勝呂博憲、緒方耕一というショートを指名した。

 勝負の4年目、藤岡の右肩を激痛が襲い、この年も一軍には上がれず。約1年に及ぶリハビリを終えて復帰すると、取り巻く環境はさらに厳しくなっていた。その後もドラフトで鈴木望や元木大介が加入し、年々ライバルが増え、二軍での出場機会も徐々に減っていき、1992年秋に戦力外通告を言い渡される。

関連キーワード

関連記事

トピックス

紅白初出場のNumber_i
Number_iが紅白出場「去年は見る側だったので」記者会見で見せた笑顔 “経験者”として現場を盛り上げる
女性セブン
ストリップ界において老舗
【天満ストリップ摘発】「踊り子のことを大事にしてくれた」劇場で踊っていたストリッパーが語る評判 常連客は「大阪万博前のイジメじゃないか」
NEWSポストセブン
大村崑氏
九州場所を連日観戦の93歳・大村崑さん「溜席のSNS注目度」「女性客の多さ」に驚きを告白 盛り上がる館内の“若貴ブーム”の頃との違いを分析
NEWSポストセブン
弔問を終え、三笠宮邸をあとにされる美智子さま(2024年11月)
《上皇さまと約束の地へ》美智子さま、寝たきり危機から奇跡の再起 胸中にあるのは38年前に成し遂げられなかった「韓国訪問」へのお気持ちか
女性セブン
佐々木朗希のメジャー挑戦を球界OBはどう見るか(時事通信フォト)
《これでいいのか?》佐々木朗希のメジャー挑戦「モヤモヤが残る」「いないほうがチームにプラス」「腰掛けの見本」…球界OBたちの手厳しい本音
週刊ポスト
野外で下着や胸を露出させる動画を投稿している女性(Xより)
《おっpいを出しちゃう女子大生現る》女性インフルエンサーの相次ぐ下着などの露出投稿、意外と難しい“公然わいせつ”の落とし穴
NEWSポストセブン
田村瑠奈被告。父・修被告が洗面所で目の当たりにしたものとは
《東リベを何度も見て大泣き》田村瑠奈被告が「一番好きだったアニメキャラ」を父・田村修被告がいきなり説明、その意図は【ススキノ事件公判】
NEWSポストセブン
結婚を発表した高畑充希 と岡田将生
岡田将生&高畑充希の“猛烈スピード婚”の裏側 松坂桃李&戸田恵梨香を見て結婚願望が強くなった岡田「相手は仕事を理解してくれる同業者がいい」
女性セブン
電撃退団が大きな話題を呼んだ畠山氏。再びSNSで大きな話題に(時事通信社)
《大量の本人グッズをメルカリ出品疑惑》ヤクルト電撃退団の畠山和洋氏に「真相」を直撃「出てますよね、僕じゃないです」なかには中村悠平や内川聖一のサイン入りバットも…
NEWSポストセブン
注目集まる愛子さま着用のブローチ(時事通信フォト)
《愛子さま着用のブローチが完売》ミキモトのジュエリーに宿る「上皇后さまから受け継いだ伝統」
週刊ポスト
連日大盛況の九州場所。土俵周りで花を添える観客にも注目が(写真・JMPA)
九州場所「溜席の着物美人」とともに15日間皆勤の「ワンピース女性」 本人が明かす力士の浴衣地で洋服をつくる理由「同じものは一場所で二度着ることはない」
NEWSポストセブン
イギリス人女性はめげずにキャンペーンを続けている(SNSより)
《100人以上の大学生と寝た》「タダで行為できます」過激投稿のイギリス人女性(25)、今度はフィジーに入国するも強制送還へ 同国・副首相が声明を出す事態に発展
NEWSポストセブン