日々の政局の動きをめぐってマスコミ各社はしのぎを削っているが、そうした政治報道の裏側を知るベテラン政治家や政治記者の目を通してみると各社の現在の立ち位置が見えてくる。自民党ベテラン議員が語る。
「永田町では、産経が書くのは官邸の観測気球的な記事が多いため、同じ政権寄りメディアでも、確度は産経が書いた段階では△、読売が書けば〇、NHKが打てば◎だとみられている」
政治記事の信頼度が「○」とされた読売の大スクープは前回(2014年12月)の解散報道だった。
当時、衆院で300議席近くを持っていた安倍首相が解散に踏み切るとの予想は少なかったが、読売は解散の1か月以上前に「増税先送りなら解散 年内にも総選挙」(11月9日付朝刊1面)と打ち、「12月2日公示、14日投開票が有力」という日程まで的中させた。
昨年秋の消費税軽減税率導入問題でも、読売は他紙を圧倒するスクープを次々と放った。この問題では与党内で公明党が消費税10%への増税時に軽減税率導入を求めたのに対し、自民党の谷垣禎一幹事長ら執行部が軽減税率に反対し、代わりに低所得者に給付金を出すという財務省案を持ち出したことから公明党は「約束違反」と激しく反発。両党の間で官邸は板挟みになった。
このとき、読売と朝日は正反対の論陣を張った。まず読売は「消費税10%時、食料品増税分を給付 財務省案」(2015年9月5日付朝刊)と打ち、「公平性著しく欠く」と批判。「財務省案 政府は慎重検討」と報じた。
それに対して朝日は財務省の消費税給付金を「自公了承」と書き、財務省案で決着する見通しを報じた。
だが、公明党は納得せず、最終的には菅官房長官の仲裁で公明党の主張通り軽減税率導入が決定。報道合戦は読売が勝利した。東京新聞の長谷川幸洋・論説副主幹氏は「情報源の差」を指摘する。