NHKの連続テレビ小説『とと姉ちゃん』がスタートから平均視聴率20%超えを連続で記録するなど、大人気となっている。温かく描かれる家族の姿が大きな魅力であるこのドラマだが、その一方で『とと姉ちゃん』を見ている私たちの社会は今、かつて当たり前と思われていた「家族を持つこと」すら難しくなってきている。「婚活」という言葉の生みの親でもある家族社会学が専門の中央大学文学部教授・山田昌弘さんはこう指摘する。
「若者は1980年代までは高い経済成長率のおかげで、結婚後も親以上の生活水準が期待できました。しかし、今は結婚後に親以上の生活を送れず、中流生活から転落する恐れが強まっています。そのため、“生活水準が下がる人となら結婚しない”などと考える若者が出現しているのです。そうやって自らの意思で結婚しない人がいる一方で、お見合いをしたりと婚活にいくら励んでも結婚できない人も少なくない。完全に二極化が進んでいます」
実際、2010年の国勢調査によると、全年代で未婚率が上昇している。30~34才の男性で、2000年は約43%だったのが、10年後の2010年は、47%に増加。30~34才女性では約27%(2000年)から約35%(2010年)に増えた。ニートやパラサイトシングルといった言葉に代表されるように、経済力のない人は困窮し、結婚するどころか、親元から独立できずにいる。
ならば念願叶って家族をつくれば幸せかといえば、さらなる不幸が待っていた──そう思わずにはいられない事件も多発している。