「ハッ、ハッ、ハッ」。東京・晴海の堤防沿い。フードを目深に被ったジャージ姿の男が黙々と走っていく。腕の振り、足の運びから、一般レベルを超えたアスリートであることが窺い知れる。だが、男の年齢を聞いて驚かぬ者はいない──千葉真一、77歳。
「トレーニングは毎日で、かれこれ75年になります。2歳まではしてないけどね(笑い)。鍛錬しないと肉体は滅びてしまう。しかし、若い頃できたことを今やろうとしても、無駄に疲れるだけ。今の肉体の状態を見ながら最適な負荷をかける。だから、これ以上は無理だと思ってやめる時もあれば、今日は無理するぞという時もあります」
500m走ったら、100m歩く。心拍数を元に戻すため、深呼吸をしながらじっくり歩き、呼吸が整えばまた走りはじめる。これを繰り返すのが千葉の基本的なジョギング法だ。さらには、ストレッチやゴムチューブを使った筋トレなど、独自のメニューをこなしていくがダンベルは使わない。
「重いものを持つと、筋肉が硬くなり動きにスピードがなくなる。アクションにスピードは大事な要素ですから、昔からダンベルは一切使いません」
自身の肉体についてはもちろん、健康にも人一倍詳しい。食事にも一家言持つ。
「健康を維持するために大切なのは、老化の原因である活性酸素を減らすこと。そのために普段から水素水を飲んでいます。それと、8年くらい前から食事は一日一食。朝は野菜ジュースだけで昼は食べず、夕方の6時以降に食べたいものを食べる。酒も飲みます。人間、腹が減っていると何でも美味しいから、食べたものは全部自分の血肉になる。コロッケやカキフライも大好き。年をとったら、好きなものを食べることも大事なんです」
千葉の運動歴は長い。日体大の学生時代は体操でオリンピックを目指すほどだった。この特技を生かし、アクション俳優として一時代を築いた。