視聴率争いを独走する日本テレビの勢いが止まらない。今年度に入ってから全ての週で視聴率3冠王を獲得(5月第4週現在。ビデオリサーチ調べ、関東地区。以下同)し、月間視聴率でも30か月連続の3冠王に。特に日曜日は17時台の『笑点』から22時台『おしゃれイズム』まで2ケタ視聴率を叩き出し、他局を圧倒している。
5月に50周年を迎えた『笑点』は司会の桂歌丸が勇退し、新司会者発表となった22日の放送では27.1%(第2部)という近年稀に見る高視聴率を記録。翌週も28.1%と高い数字を獲った。この背景には、日テレの編成上の作戦があったようだ。視聴率に詳しい芸能記者が話す。
「局全体で、ひとつの番組を盛り上げる編成上の作戦が見事に功を奏しました。22日の週には、16日の月曜『しゃべくり007』、17日の火曜『火曜サプライズ』、前日21日の土曜『嵐にしやがれ』という人気番組に笑点メンバーが出演し、順に15.5%、12.5%、11.9%と高視聴率を出した。この3番組を含め、計21番組でコラボレーション。勇退当日の『シューイチ』は歌丸がインタビューに答え、10.2%と2ケタを出した。
普段は滅多に他番組に出演しない笑点メンバーの希少性が、それぞれの番組に数字をもたらし、『笑点』自体の宣伝にもなるという理想的な形でした」
2006年、5代目三遊亭円楽が司会から勇退し、歌丸にバトンを受け継いだ時は、新回答者の春風亭昇太も同時に発表されたが、今回は22日の放送では新司会者が昇太になるという公表だけに留まり、次週に持ち越しとなった。これも、日テレの作戦のひとつだろう。
「新司会者発表でひとヤマ、次週に新回答者発表でひとヤマと二つのヤマを作ったことで、2週にわたって25%以上をキープできた。ただ、新回答者の林家三平は事前の予想通りという声もあり、それほどの意外性はなかった。そこに、林家たい平の『24時間テレビ』のマラソンランナーというサプライズを持ってきた」
このマラソンランナーへの起用は、複数の波及効果を生むと予測される。ひとつが、歌丸が抜けた後の『笑点』の視聴率維持だ。