スマートフォンを利用したシェアビジネスが急成長中だ。数年前からこの分野に着目してきた経営コンサルタントの大前研一氏が、海外で続々と登場しているスマホを活用したシェアビジネスの新業態について解説する。
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トヨタ自動車が、スマートフォンのアプリを使ったタクシー・ハイヤー配車サービス「ウーバー・テクノロジーズ」との資本業務提携を発表した。トヨタは、ウーバーに登録し自家用車で有料で客を運ぶ「ライドシェア(相乗り)」の運転手に対して自動車をリースし、車載アプリの開発でも協業するという。
前号では「自在客」「住百家」「途家」といった個人の空き部屋を観光客などに有料で貸し出す中国系民泊仲介サイト、いわば“中国版エアビーアンドビー”が日本でのサービスを拡大していることについて解説したが、私は数年前から「アイドルエコノミー」と「シェアビジネス」に着目してきた。
アイドル(idle)は「空いている」「働いていない」「使われていない」という意味で、ウーバーやエアビーアンドビーのように空いているリソース(資産)、キャパシティ(容量)、時間、能力などをシェア(共有)して活用するビジネスが世界中で急成長しているのだ。だからトヨタと世界トップを競うVWやGMも、かなり積極的にウーバーと同じようなベンチャー企業に投資している。トヨタの投資は、むしろ小規模で遅すぎた感さえある。
実際、海外ではシェアビジネスの新業態が続々と登場している。たとえば、ウーバーはサンフランシスコ、ロサンゼルス、ニューヨーク、ボストンなどで「ウーバー・プール(UberPOOL)」という“相乗りタクシー”の運用を始めている。同じ方向への通勤や市内~空港間などで1台のタクシーに相乗りするというサービスで、他の乗客とシェアすることによって料金が安く(割り勘に)なる。
アプリのメニューでプールを選ぶと、同じようなルートを利用する他の乗客とマッチングしてくれる(タイミングによってはマッチングできない場合もある)。