しかし、これらのパーキンソン病薬は投与開始から5~7年は効果があるが、その後は持続時間が短くなったり、自分の意思とは関係なく体が動くジスキネジア(不随意運動)が起こるため、細かい調整が必要となる。また、薬の吸収をよくするためにも、パーキンソン病患者にとって便秘のコントロールは重要だ。こうした状況の中、パーキンソン病の進行抑制効果があるのではと期待されているのが、ビタミンDだ。
「国内外の研究で、パーキンソン病患者さんは健常人に比べて血中のビタミンD濃度が低下傾向にあり、しかもビタミンD濃度が低いほど重症度が高まることもわかってきました。
そこで当院を受診された患者さんにご協力いただき、ビタミンDのサプリメントと偽薬を比較する臨床研究を実施したところ、パーキンソン病の進行を抑制する効果が、日本人のエビデンス(その治療法がよいとされる証拠)として初めて示されました」(鈴木診療部長)
抑制効果が認められたのは、ビタミンD受容体に、ある種の遺伝子多型を持っている患者群で、患者の約6割とみられる。この研究成果は米国の医学専門雑誌に掲載され、その後は内外の研究機関において更なる研究も始まった。今後の研究成果が期待される。
■取材・構成/岩城レイ子
※週刊ポスト2016年6月24日号