パーキンソン病は、脳内のドパミン神経の減少による神経変性難病だ。主な症状は手の震え、歩きにくさ、転びやすさ、体が硬くなるなど様々で、50歳以上で発症が増える。現在、多岐にわたる治療薬が登場しており、リハビリ併用で日常生活を支障なく過ごせる人も少なくない。今では日本でもビタミンDサプリメントの服用で、一部の患者では進行抑制効果があると証明されている。
パーキンソン病は、大脳の下にある中脳の黒質ドパミン神経細胞が減少することで、ドパミンが減る病気だ。ドパミンは神経伝達物質の一つで、運動機能調節や学習機能などに関わっており、減少すると手の震えや歩きにくさ、転びやすさ、動作緩慢、体が硬くなるなどの運動症状が生じる。
これら以外にも、便秘や頻尿、発汗、疲れやすさ、嗅覚の低下、うつ症状なども起こすことがある。日本では約16万人の患者がいると推計されているが、高齢化にともない、増加傾向にある。東京慈恵医大葛飾医療センター神経内科の鈴木正彦診療部長に話を聞いた。
「パーキンソン症状を呈する病気のうち、パーキンソン病は半数で、残りは別の病気です。パーキンソン病は、多くの有効な治療薬が開発されているため、リハビリテーションとの併用で、ある程度の運動機能の改善と、その維持が可能になっています。発症から15年経過しても、ゴルフや軽い登山を楽しんでいる方もおられます」
パーキンソン病の治療薬は、いくつか種類がある。減少したドパミンを補うL-dopaは腸から吸収され、血液脳関門を通り、脳内に入りドパミン神経に取り込まれてドパミンとなる。
また、ドパミン受容体刺激薬(ドパミンアゴニスト)やドパミン放出促進薬なども開発されている。さらに抗コリン薬、脳内でドパミンが分解されるのを防ぐMAO-B阻害薬、ノルアドレナリン補充薬などがあり、患者の症状や合併症などに応じて処方を変え、治療効果を持続することが可能だ。