梅雨の合間の突き抜けるような青空の下、参列者のワイングラスに注がれたのは「Chateau Le Pin POMEROL」の1992年物。年間8000本ほどしか生産されない希少な赤ワインで、1本40万円前後とされる。
「墓前には白菊ではなく真っ赤なバラ、それに参列者で一緒にワインを飲む納骨式は初めてでした。でもそれって川島さんを偲ぶのにはぴったりだなって」(参列者の1人)
350年の歴史がある東京・麻布十番のある古刹。6月10日、昨年9月24日に胆管がんで亡くなった川島なお美さん(享年54)の納骨式が執り行われた。
参列者はおよそ50人。夫でパティシエの鎧塚俊彦氏(50才)のほか、川島さんの親族、愛犬のココナッツ、そして生前親しかった山田邦子(56才)や作家の林真理子氏(62才)、作曲家の三枝成彰氏(73才)など。彼女が憧れていた女優の倍賞千恵子(74才)は挨拶で、「これからもっと親しくしたかったのに、私よりも若くておきれいな川島さんが先に逝ってしまうなんて…」と言葉少なに故人を偲んでいた。
納骨式でひときわ視線を集めていたのは、個性的な墓石だった。
鏡のような輝きとともにそびえ立つ黒い石の塔には丸く大きな穴が空いている。その竿石のてっぺんには、今脱いだばかりのように見えるつばの広い帽子がデザインされ、さらに、石塔の手前には、川島さんが愛したワイン「ロマネコンティ」の1960年物(川島さんの生まれ年)のボトルが精巧に作られている。
香炉が乗った石の台には『YOROIZUKA』の文字と共に、ワイングラスを握った2匹の犬が、仲がよさそうに顔を寄せ合っているイラストが刻まれている。それはおそらく、参列したココナッツと、彼女が亡くなる直前にこの世を去った愛犬シナモンだろう。