国際情報

中国・元国家主席の死後待遇 銅像建設も即取り壊し命令

権力の一極集中が進む(写真:アフロ)

 習近平は最近、「習沢東」と呼ばれるほど、毛沢東を模した自身の偶像化や軍権掌握といった権力の一極集中を進めている。その独断専行ぶりを、ジャーナリストの相馬勝氏がレポートする。

 * * *
 陝西省富平県。省都の西安市から約60km北東にある田舎町だが、いま国家プロジェクト級の大規模な建設工事が進んでいる。習近平の父、習仲勲の巨大墓苑だ。面積は2660万平方メートルと東京ドーム569個分がすっぽり入る。

 富平県は習仲勲の生まれ故郷だけに、共産主義革命戦争を指揮、新中国建国に深く貢献し、副首相や党政治局員まで務めた業績を讃える「愛国主義教育基地」として、地元の陝西省政府の肝いりで昼夜兼行の突貫工事が行われているのだ。

 さらに、習近平自身の本籍地も富平県であるため、建設を進める省政府指導者の心中には習近平の存在が深く投影されていることだろう。

 そもそも習仲勲の遺骨は2005年、彼の遺言により、故郷の富平県の一角に散骨された。そこに小さな旧居が建てられ、仲勲を偲ぶ記念館となった。ところが、長男の習近平が2012年11月、党総書記に選出され最高指導者の座に就くと、風向きが変わってきた。

 記念館を建てた当時の副県長が西安市副市長に異例の栄転となった。人口が80万人あまりの地方都市の副県長が、人口855万人以上の省都の副市長に抜擢されるのは通常ありえない。そこに、習近平の影が見え隠れする。

 広大な敷地のなか、花崗岩の台座に大きな仲勲の石像が建てられたほか、旧居、記念館、墓地、陵園、広場など一大墓苑が建設される予定だ。これほどの広さの墓苑はかつての最高実力者、鄧小平のそれに次いで、中国では2番目だ。副首相級の仲勲の墓苑にしてはあまりに分不相応だとしか言いようがない。

関連キーワード

関連記事

トピックス

田村瑠奈被告(右)と父の修被告
「ハイターで指紋は消せる?」田村瑠奈被告(30)の父が公判で語った「漂白剤の使い道」【ススキノ首切断事件裁判】
週刊ポスト
指定暴力団六代目山口組の司忍組長(時事通信フォト)
暴力団幹部たちが熱心に取り組む若見えの工夫 ネイルサロンに通い、にんにく注射も 「プラセンタ注射はみんな打ってる」
NEWSポストセブン
10月には10年ぶりとなるオリジナルアルバム『Precious Days』をリリースした竹内まりや
《結婚42周年》竹内まりや、夫・山下達郎とのあまりにも深い絆 「結婚は今世で12回目」夫婦の結びつきは“魂レベル”
女性セブン
騒動の発端となっているイギリス人女性(SNSより)
「父親と息子の両方と…」「タダで行為できます」で世界を騒がすイギリス人女性(25)の生い立ち 過激配信をサポートする元夫の存在
NEWSポストセブン
宇宙飛行士で京都大学大学院総合生存学館(思修館)特定教授の土井隆雄氏
《アポロ11号月面着陸から55年》宇宙飛行士・土井隆雄さんが語る、人類が再び月を目指す意義 「地球の外に活動領域を広げていくことは、人類の進歩にとって必然」
週刊ポスト
九州場所
九州場所「溜席の着物美人」の次は「浴衣地ワンピース女性」が続々 「四股名の入った服は応援タオル代わりになる」と桟敷で他にも2人が着用していた
NEWSポストセブン
初のフレンチコースの販売を開始した「ガスト」
《ガスト初のフレンチコースを販売》匿名の現役スタッフが明かした現場の混乱「やることは増えたが、時給は変わらず…」「土日の混雑が心配」
NEWSポストセブン
希代の名優として親しまれた西田敏行さん
《故郷・福島に埋葬してほしい》西田敏行さん、体に埋め込んでいた金属だらけだった遺骨 満身創痍でも堅忍して追求し続けた俳優業
女性セブン
佐々木朗希のメジャーでの活躍は待ち遠しいが……(時事通信フォト)
【ロッテファンの怒りに球団が回答】佐々木朗希のポスティング発表翌日の“自動課金”物議を醸す「ファンクラブ継続更新締め切り」騒動にどう答えるか
NEWSポストセブン
越前谷真将(まさよし)容疑者(49)
《“顔面ヘビタトゥー男”がコンビニ強盗》「割と優しい」「穏やかな人」近隣住民が明かした容疑者の素顔、朝の挨拶は「おあようございあす」
NEWSポストセブン
歌舞伎俳優の中村芝翫と嫁の三田寛子(右写真/産経新聞社)
《中村芝翫が約900日ぶりに自宅に戻る》三田寛子、“夫の愛人”とのバトルに勝利 芝翫は“未練たらたら”でも松竹の激怒が決定打に
女性セブン
天皇陛下にとって百合子さまは大叔母にあたる(2024年11月、東京・港区。撮影/JMPA)
三笠宮妃百合子さまのご逝去に心を痛められ…天皇皇后両陛下と愛子さまが三笠宮邸を弔問
女性セブン