「日本は昨年より1ポイントを落としてスコアが26になりましたが、大きな変化ではなく、英国やオーストラリアなど他の大きな民主主義国に近いものです。今回、1ポイント落ちた最大の理由はメディアに対する政府の圧力です」

 国境なき記者団の分析と同様、政府の圧力を理由に挙げているが、落ちた順位は3つだけだ。

 ところが、この結果を報道したのは時事通信(4月28日配信)くらいで、大手紙は触れず、テレビでも報道した局を確認できなかった。

 同様に、日本の大手メディアがほとんど報じていないのが、国連特別報告者のデビッド・ケイ氏が、記者会見で特定秘密保護法の制定や高市早苗総務相の電波停止発言などを問題視し、記者クラブ制度の廃止や独立した放送監督機関の設置を提言していたことである。

 ジャーナリストの須田慎一郎氏はいう。

「民主党政権時代は記者クラブが開放されて、オープンな記者会見になったが、自民党政権になったら元に戻り、結果的に締め出された外国人ジャーナリストが怒り、それがランキングに影響を与えたのではないか。

 日本のメディアは秘密保護法を問題視していますが、最大の問題は記者クラブで、そこに触れると自らクビを絞めることになるので、そこには触れないわけです」

 自分たちの都合のいいことしか報じない日本のメディア。そうなるとタンザニア以下との指摘も的外れではないのか。

※SAPIO2016年7月号

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