国境なき記者団(本部・パリ)による「報道の自由度」ランキング2016(180か国が対象)によると、2010年に11位だった日本は2016年には香港や韓国、タンザニアよりも下の72位までランクを下げた。
いったい、どのような調査で、日本の評価はここまで暴落したのか。
国境なき記者団はサイト上で調査方法を解説している。それによると、87項目からなる設問に、同団体に選ばれた回答者が答え、その結果を基にランキングしていることがわかる。アンケートでは次のような設問がある。
「メディアは一般大衆の幅広い意見を反映させているか」(10段階で評価)
「政府はジャーナリストを監視・脅迫するか」(10段階で評価)
漠然とした印象を問う設問が多い上、6~10段階で評価させたりするので、回答者の主観に委ねられる部分が大きそうだ。
日本での調査では、TV局や新聞社の記者、フリーのジャーナリスト、大学教授、弁護士、外国特派員などから、20人を回答者として選んだという。
国境なき記者団アジア太平洋デスクのベンジャミン・イシュマル氏に日本の順位下落の理由を尋ねたところ、英文のメールで回答が寄せられ、「日本の回答者が、以前より厳しく評価したということだ」とし、わざわざ大文字で「THEY」と書き、「“彼ら”がそう答えたからこうなったのだ」とコメントした。
ここで気になるのは、「THEY」とは誰かである。 回答者の人選に関わったという国境なき記者団・日本特派員の瀬川牧子氏に聞くと、「20人の回答者らの個人名を出すことはできません」という。
国境なき記者団の発表から一週間後の4月27日、米人権団体のフリーダム・ハウス(本部ワシントン)が、同じような報道自由度ランキングを発表し、199の国と地域のなかで日本は44位にランクされた。前年の41位から順位を落としたが、「報道の自由がある」とされる最上位カテゴリーには入っている。
フリーダム・ハウスは1941年に設立されたNGOで、この調査を1980年から実施する“老舗”だ(※国境なき記者団の調査は2002年以降に公表されている)。
日本の順位について、フリーダム・ハウスのグローバル広報官、サラ・N・レプッチ氏に聞いた。