国際情報

無罪判決の産経・加藤氏に韓国紙は文句を言い続けている

加藤氏の無罪判決を報じた韓国の新聞 共同通信社

 産経新聞・前ソウル支局長の加藤達也氏が、セウォル号沈没の日の朴槿恵大統領に関する韓国国内で発生した噂について執筆した記事が元で「朴大統領への名誉毀損」として起訴された。その後、無罪判決を言い渡されたのは昨年末のこと。これで一件落着かと思いきや、そうではなかった。加藤氏がその経緯を明かす。

 * * *
 4月17日、ソウル新聞の電子版にこんな見出しの記事が掲載されました。

〈加藤前支局長が『裁判費用一切を補償せよ』と政府相手に訴訟〉

 しかし、わずか30文字足らずの見出しに、ウソが2つもあります。第1に一切合切を請求したわけではない。第2に、政府相手に訴訟を起こしたのではなく、規定に沿って請求手続きをしただけという点です。

 さらに朝鮮日報は4月18日付で〈虚偽記事の産経前ソウル支局長、韓国政府に交通費まで請求〉と、まるで私が図々しい要求をしているかのような記事を出しました。

 そもそも、費用を請求できると知ったのは、昨年12月17日の無罪判決のあとで、裁判長から「無罪になった被告人は訴訟費用を請求できます。弁護人の事務所に資料を送付します」という話があったからです。

 韓国の刑事訴訟法194条には、〈無罪判決が確定した場合は当該事件の被告人にあった者に対してその裁判に要した費用を補償しなければならない〉とあります。その内容は、〈公判準備および、公判期日に出席するのに要した旅費、日当、宿泊料と弁護人だった者に対する報酬〉と定められていました。

 本来、韓国の検察が言いがかりのような裁判を起こさなければ、必要なかった出費です。私たちは実費を請求できるのは当然の権利だと受け止めました。

 私は8か月にもわたる出国禁止措置で、精神的な苦痛も受けました。産経新聞社も被害を被っています。国家賠償請求訴訟を起こして、精神的苦痛や負担に対する賠償額を算出して請求することもできました。しかし、実際に私たちが請求した総額は、約1980万ウォン。日本円で約180万円です。

 請求したのは、前述の規定に従い、出国禁止解除から無罪判決まで公判に出席するための東京─ソウル往復の旅費と宿泊費など、最低限の実費だけです。経費の〈一切〉をむしり取ろうなんて気持ちはまったくありません。

関連キーワード

関連記事

トピックス

山口組分裂抗争が終結に向けて大きく動いた。写真は「山口組新報」最新号に掲載された司忍組長
「うっすら笑みを浮かべる司忍組長」山口組分裂抗争“終結宣言”の前に…六代目山口組が機関紙「創立110周年」をお祝いで大幅リニューアル「歴代組長をカラー写真に」「金ピカ装丁」の“狙い”
NEWSポストセブン
「衆参W(ダブル)選挙」後の政局を予測(石破茂・首相/時事通信フォト)
【政界再編シミュレーション】今夏衆参ダブル選挙なら「自公参院過半数割れ、衆院は190~200議席」 石破首相は退陣で、自民は「連立相手を選ぶための総裁選」へ
週刊ポスト
Tarou「中学校行かない宣言」に関する親の思いとは(本人Xより)
《小学生ゲーム実況YouTuberの「中学校通わない宣言」》両親が明かす“子育ての方針”「配信やゲームで得られる失敗経験が重要」稼いだお金は「個人会社で運営」
NEWSポストセブン
中居正広氏と報告書に記載のあったホテルの「間取り」
中居正広氏と「タレントU」が女性アナらと4人で過ごした“38万円スイートルーム”は「男女2人きりになりやすいチョイス」
NEWSポストセブン
『月曜から夜ふかし』不適切編集の余波も(マツコ・デラックス/時事通信フォト)
『月曜から夜ふかし』不適切編集の余波、バカリズム脚本ドラマ『ホットスポット』配信&DVDへの影響はあるのか 日本テレビは「様々なご意見を頂戴しています」と回答
週刊ポスト
大谷翔平が新型バットを握る日はあるのか(Getty Images)
「MLBを破壊する」新型“魚雷バット”で最も恩恵を受けるのは中距離バッター 大谷翔平は“超長尺バット”で独自路線を貫くかどうかの分かれ道
週刊ポスト
もし石破政権が「衆参W(ダブル)選挙」に打って出たら…(時事通信フォト)
永田町で囁かれる7月の「衆参ダブル選挙」 参院選詳細シミュレーションでは自公惨敗で参院過半数割れの可能性、国民民主大躍進で与野党逆転へ
週刊ポスト
約6年ぶりに開催された宮中晩餐会に参加された愛子さま(時事通信)
《ティアラ着用せず》愛子さま、初めての宮中晩餐会を海外一部メディアが「物足りない初舞台」と指摘した理由
NEWSポストセブン
「フォートナイト」世界大会出場を目指すYouTuber・Tarou(本人Xより)
小学生ゲーム実況YouTuberの「中学校通わない宣言」に批判の声も…筑駒→東大出身の父親が考える「息子の将来設計」
NEWSポストセブン
大谷翔平(時事通信)と妊娠中の真美子さん(大谷のInstagramより)
《妊娠中の真美子さんがスイートルーム室内で観戦》大谷翔平、特別な日に「奇跡のサヨナラHR」で感情爆発 妻のために用意していた「特別契約」の内容
NEWSポストセブン
沖縄・旭琉會の挨拶を受けた司忍組長
《雨に濡れた司忍組長》極秘外交に臨む六代目山口組 沖縄・旭琉會との会談で見せていた笑顔 分裂抗争は“風雲急を告げる”事態に
NEWSポストセブン
「週刊ポスト」本日発売! 中居トラブル被害女性がフジに悲痛告白ほか
「週刊ポスト」本日発売! 中居トラブル被害女性がフジに悲痛告白ほか
NEWSポストセブン