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株主総会で存在感高めるアクティビスト 真の企業統治進むか

問われる株主価値の意味(写真:アフロ)

 上場企業の「株主総会」シーズンが本格化している。近年、多くの株主が参加できるように、開催日をズラしたり午後開催にしたりと日程を分散させる傾向にあるが、それでも3月決算会社の32.2%にあたる759社が6月29日(水)に集中的に株主総会を開く予定だ。

 ひと昔前の株主総会といえば、特定株主と称される「総会屋」が跋扈し、会場内で経営陣に不当な要求を突き付け、議事進行を妨げるなど混乱した時代があった。

 じつは総会屋対策のために開催日が集中した経緯もあるのだが、最近はそうした反社会勢力も絶滅しかかっている。警視庁によると、いまだに東京都内には約170人の総会屋が残っているものの、実際に活動しているのは20人程度だという。

「1990年代後半、大手証券会社やメガバンクによる総会屋への利益供与事件が次々と明るみになったことを受け、より利益供与の処罰を厳しくした2度目の商法改正(1997年)が行われた。

 それにより、一時期2000人弱もいた総会屋が1999年には約400人まで激減。大物総会屋として知られていた人物たちも、次第に鳴りを潜めるようになった」(全国紙記者)

 しかし、総会屋がいなくなったからといって、経営方針や人事案に口出しする「物言う株主」との戦いが終わったわけではない。むしろ、近ごろは海外の投資ファンドを中心に、経営陣にプレッシャーをかけ続け、持ち株の価値を増大させて利益を得る──いわゆる“アクティビスト”の存在感が強大化。あちこちで話題をさらっている。

 経営方針への反発から西武ホールディングスと長年対立を続けてきた米サーベラス、大塚家具の経営権をめぐる父娘の委任状争奪戦で娘・久美子氏を支持し、父・勝久氏を会社から追い出した米ブランデス・インベストメント・パートナーズなど、投資ファンドの意向が会社の屋台骨を揺るがすほど大きな影響力を持っていることを改めて内外にアピールした。

 また、米投資家のダニエル・ロープ氏率いるサード・ポイントは、より過激なアクティビストとしてその名を轟かせている。

 2012年に米ヤフーのCEOを辞任に追い込んだことで一躍有名になったロープ氏だが、日本でもソニーにテレビ事業の切り離しを迫ったり、産業用ロボット大手のファナックに潤沢な現預金の株主還元を要求するなど、経営に対する直接提案を持ちかけている。

 さらに、セブン&アイホールディングスの社内クーデターでは、カリスマ会長の鈴木敏文氏が提案した社長交代人事案を「世襲」だと痛烈に批判し、結果的に鈴木氏の引退劇に一枚噛む形となった。

 株主総会では、こうした投資ファンドだけでなく、外国人株主に影響力を持つ「議決権行使助言会社」の存在もクローズアップされている。

 例えば、米ISS(インスティテューショナル・シェアホルダー・サービシーズ)は、2012年に開かれたオリンパスの臨時株主総会で会長・社長らの選任議案に反対するよう株主に助言するなど、経営陣の人事にまで口出ししている。今年の総会では不正会計問題で経営が傾いた東芝の新社長選任案にも異議を唱えている。

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