撮影した女優、アイドルは2000人。80冊の写真集を手がけ、数々の雑誌の表紙やグラビアを彩ってきた写真の職人・小澤忠恭氏が、トップスターの今だから明かせる素顔、撮影秘話を語る。
1980年代後半から90年代にかけて一世を風靡した中山美穂。レコードジャケットも撮影した小澤氏は彼女のプロ意識に圧倒されたという。
「カメラを向けると、『こんな感じでどう?』って、ものすごく色っぽいポーズをするのです。一瞬『僕に惚れているのか』と勘違いしてしまうほどでした」
同じ時期、中山と人気を二分したのが小泉今日子だった。小澤氏は彼女のアルバム『Liar』のジャケットを撮影しているが、彼女のプロ意識も際立っていた。
「実にまっすぐな意見と感覚を持つ子。『私は一生懸命にやりますから、皆さんも真剣にお願いします』という雰囲気を、20歳そこそこの女の子が漂わせているので驚きました」
有森也実もまた、清純なイメージとは裏腹に、サバサバとした感覚の女性だった。
「カメラマンだって、セクシーなカットを撮りたいと思っても、ストレートにはいいづらい。だから、『もう少しスカートを引っ張って』とか、回りくどい言い方になる。ところが彼女は、『太腿を撮りたいんでしょ。そういってくれればやるのに(笑い)』といってくれた。胸のすく気持ちのいい女性でした」
34歳でヘアヌードに人生を賭けた沖直美(現・沖直未)は、イタリアのシチリア島で涙を流した。
「僕の撮影に新しい工夫がないと思ったんだろうね。女は、いつもそうやって男を試したがる(笑い)。そんな時、僕はとにかく一所懸命撮ることで応えようとしてきた」