昨今の三面記事を飾った、眉をひそめたくなるような事件。どこか子供っぽくて自分本位。並べてみると、そのどれもが“50オトコ”の所業によるものだった──。
「母さんの下着があるところはわかるか。取りに行くので家の前で待っていろ」。こう小学4年生男児に指示して住所を聞きだし、下着5枚を脅し取った容疑で、北海道伊達署は58才の男を逮捕。「下着がほしかった」と容疑を認めている。(2014年9月)
「盗んだ玩具の売却代金で怪獣のフィギュアを買おうと思った。ショーケースのガラスが開いていたので盗めると思った」と古物商『まんだらけ』で万引した事件で、東京・中野署は50才の男を逮捕した。(2014年8月)
マンション自室の床に穴を開けて階下の部屋に侵入、住人の女性にわいせつな行為をしようとした51才の会社員が逮捕された。女性が経営する飲食店の常連で、「恋愛感情があって階上に引っ越した。穴は10日間かけてのこぎりなどの工具を使って開けた」と。(2015年10月)
1955~1965年に生まれ、かつて“新人類”と呼ばれた人も含まれるこの世代。生きていれば誰にでも50代は訪れるものだが、何かこう、今の50代の男性は、前後の世代と異なる特徴がある気がしてならない。
自らも1960年生まれで55才になる精神科医の香山リカさんは、今の50代男性を「50オトコ」と命名。近著『50オトコはなぜ劣化したのか』(小学館)も話題になっている。そして、同世代の男性についてこう分析する。
「高度経済成長期で子供時代を過ごし、青年期はバブル経済まっただ中。そんな右肩上がりの時代を体験してきた今の50代男性は、変化の波に乗り遅れて、子供っぽさを引きずっている。だから子供じみた行為で世間を騒がせてしまうのです」(香山さん、以下「」内同)
香山さんが、同世代の50オトコについて、その特徴を明確に意識したのは、昨年の国会前での市民デモだった。参加している同年代は女性ばかりで、男性がほとんどいなかったことにハッとしたのだという。
「仕事がまだ忙しい世代だからかと思ったものの、どうもそうじゃない。主義主張を積極的に語りたくないといった、この年代特有の思考的特徴があることに気づいたのです」