場所は東京・世田谷の閑静な住宅街。自宅のガレージのシャッターが上がると、人懐こい笑顔で手招きする岩城滉一(65)の姿があった。「ここは完全にプライベート空間だから、滅多に人に見せたりしない。今日は特別だからね」と釘をさすが、中に入ると気さくに案内してくれた。
「碁でも盆栽でも、何でもいいんだけど、何かに熱中している人間って魅力的だと思わない? だから、やりたいことは躊躇せずやった方がいいんだよ。俺の場合も、季節や体調に応じて、乗馬に行こうとか、3日あるからツーリングに行こうとなる。一つのことに絞れないんだね」
そんな言葉通り、ガレージは“遊び道具”で溢れている。フルチューンしたイタリア車のアバルトのほか、ハーレーダビッドソンやT-REX、すでに販売が終了しているノートンマンクスなど、特別仕様のバイクがずらりと並ぶ。奥にはスカイダイビング用のパラシュートやイタリア製のロードバイクのほか、パチンコ台まである。
「昔はガレージの真ん中をターンテーブルにして、クルマがたくさん入るようにしていた。フェラーリとか値段の高いクルマ16台くらい置いていたんだ。でも、仲間が集まるようになって、寛げるスペースを作るために改築したから、物を置く場所は半分くらいになった。遊びはそれ自体楽しいけど、仲間と一緒に泣いたり笑ったりするのが一番だね。人生を楽しむっていうのはそういうことじゃないかな」
大勢の友人が岩城を慕って集まるが、岩城が自分も含めた誰よりも大事するのが、20歳の時に結婚し45年間連れ添うアンナ夫人だ。
「世の中で俺ほど女房を大切にしている男はいないと思いますよ。もちろん、遊んでます。週に最低3回は銀座のクラブに行くし、お姉ちゃんのオッパイにも触ってる(笑い)。でも、年間300日は女房と一緒に晩飯を食べてる。銀座に行くのは、女房と飯を食べた後。だから、同伴したら晩飯2回の時もある。稼いだお金も、全額女房に渡しているんだからね」
愛妻家を公言して憚らない岩城が、最近趣味に変化が起きたという。それは意外にも庭いじりだった。