今や生涯のうち12人に1人がかかるといわれる乳がん。ハリウッド女優のアンジェリーナ・ジョリー(41才)は遺伝子検査を受け、医師に「87%の確率で乳がんを発症する」と宣告されたことから、発症していないにもかかわらず両乳房を切除した。
遺伝的要素のなかったタレントの北斗晶(48才)は、1年に1回の検診を受けていたが検診では見つからず、自分で異常を感じて病院を受診。見つかった腫瘍は2cmと大きく、右乳房全摘手術と抗がん剤治療を受けた。
一方で女優の南果歩(52才)は人間ドックを受診して異常が見つかり、2016年3月に早期の乳がんで手術を受けた。女優の生稲晃子(48才)は43才で乳がんにかかり、その後計5回の手術を受けて乳房を再建している。このように女性にとって「乳がん」は、決して他人事ではない。
そんななか歌舞伎俳優・市川海老蔵(38才)の妻でフリーアナウンサーの小林麻央(33才)が、1年8か月前から乳がんの治療を受けていたことがわかった。現在再入院して治療中の彼女と家族の闘いから、私たちは多くのことを気づかされる――
乳がんの治療は日々進歩している。2005年に「乳がん」であることを明かした女優の樹木希林(73才)は、2012年から病巣にピンポイントに陽子線と呼ばれる放射能を当てがんを小さくする「陽子線治療」を受けている。その後も、新しい薬の開発や、免疫療法などさまざまな新しい治療法が出てきている。
医療ジャーナリストの田辺功さんが、最新の乳がん治療について解説する。
「基本的に乳がんの治療は、手術・放射線・化学療法の3本柱。これは20年前から変わりません。その中で、日々新しい治療法が生まれているのです。例えばこれまでの放射線治療はX線の“三次元照射”でしたが、“四次元ピンポイント照射療法”を行う病院もあります。
これまでは、照射時に患者さんが呼吸をするため、位置がずれてしまうことがありましたが、“四次元ピンポイント照射治療”はずれを矯正しながら患部にX線を当てていく。そのため体に負担をかけずに陽子線治療とほぼ変わらない効果を得ることができます」