最近テレビを見ているとドキッとさせられることが増えた。女性用下着のCMにトップ女優や人気タレントが起用されているからだ。かつては外国人など見知らぬ顔ばかりだった下着CMに、なぜ大物たちが次々と出演しているのか。
世の男女をアッと驚かせたのが、今年5月に下着メーカー・トリンプの新ブランド「フロラーレ」のイメージキャラクターに就任した歌手の松田聖子(54)だ。
36年間のキャリアで初となる下着CMは、モナ・リザを意識して微笑む静止画面から始まる。松田が動き出すと身にまとう黒い洋服は前が大きくはだけ、淡いピンクの花柄をあしらった上品なブラが映し出される。
ひと昔前は「下着姿なんてはしたない」との意識が強く、下着CMに起用されるのは外国人やブレイク前のモデルばかりだった。だが、最近は様変わりしたと指摘するのは芸能評論家の三杉武氏だ。
「ここ数年は下着CMが女性タレントのステイタスとなり、オファーを受ける有名女優やタレントが増えました。プロポーションを維持する高い意識が同性からの共感を得て、“憧れの存在”として好感度が上がる」
2010年に発表されたAKB48のPV『ヘビーローテーション』も契機となった。様々なデザインの下着を身に着けてじゃれ合うメンバーの姿が「下着はファッション」との認識を与えたのだ。
そのため、男性誌のHなグラビアはNGだが、女性誌や下着CMはOKというタレントも多い。佐々木希(28)も『anan』(マガジンハウス刊)で大胆な下着姿を披露し話題になった。
その先駆者となったのが女優の篠原涼子(42)だ。2014年、トリンプ「天使のブラ」のCMでは真っ赤なブラ姿になり、極上の谷間を披露し、世間の注目を集めた。2人の子供がいるとは思えない美しいボディラインも驚きだった。CM総合研究所代表の関根心太郎氏がいう。
「篠原さんは健康的なセクシーさが女性から支持され、当時のCM好感度調査では同時期に放送されたすべてのCMのなかで『セクシー』という項目で、トップでした」
今夏のCMも、スレンダーなボディに淡いブルーや赤のブラを身に着け、ブラウスやカーディガンを羽織っただけとセクシー。目を閉じてベッドに横たわる彼女のシャツの胸元が大きくはだけ、ふくよかな胸の谷間と清廉なブラが露わになるシーンは、“素の篠原涼子”を連想させて悩ましい。
今や下着CMは女性タレントにとって、“女性人気”を得る大チャンスゆえ、多くの若手有望株も出演する。