日本共産党は今回の参院選で過去最高の「比例代表850万票」の目標を掲げているが、ジャーナリストの角谷浩一氏は、「都市部での地盤固めが進んでおり、目標を上回る900万票をうかがう勢いです」と読む。
安倍自民党にとって脅威なのは、連立を組む公明党から共産党が票を奪う形で勢力を伸ばしていることだ。
自民党と選挙協力を組む公明党・創価学会は学会員が手弁当でローラー作戦を展開する組織選挙で知られる。「創価学会800万票」とは学会員だけの票ではなく、学会員が勧誘する学会員以外の支持票、いわゆる「F(フレンド)票」を合わせた数字だ。
総選挙では各小選挙区に2万~3万票ある学会票が自民党候補に上乗せされて大量議席獲得の原動力になっており、参院選の1人区でも同様の協力体制が築かれている。いまや「自民党最強の選挙マシン」といっていい。
だが、こと選挙における組織力の強さでは、共産党はその公明党・創価学会と双璧をなす。両党は社会的弱者を重視する政策を掲げて支持層が重なり、選挙のたびに票の奪い合いを演じてきたライバルだ。
共産党の選挙活動の主役となるのは約30万人(2015年)の党員たち。こちらも普段は手弁当で機関紙「赤旗」(約130万部)を配達し、出勤前に党のチラシをポスティングする地道な活動を担っている。
「選挙が近づくと、連日のように、郵便受けに共産党のチラシが投げ込まれる。あれは他の党には真似できない」
と自民党のベテラン選挙担当も舌を巻く。共産党の上層部には一般有権者にアレルギーがある党名を変更すべきという声があるが、それができないのは選挙の中核となっている古参党員の間に、「共産党」という名前にこだわりが強いからだとみられている。
そして、創価学会のF票集めに相当するのが支持者カードと共産党後援会である。共産党関係者が語る。
「支持者カードとは、党員ではないが赤旗を購読している人や、共産党を前面に出さない名前で環境問題や反原発を話し合う集会などに参加してくれた人を名簿化したもの。
後援会は、例えば都庁職員共産党後援会とか、千代田区共産党後援会というように、職場や地域単位で組織されていて、会員は党員に限らない。(共産党系の)民主商工会で税務相談を受けている商店主や、貧困や子供の就学などで党の事務所に相談に来て、自治体のいろんな助成を得ることができた人たちが加入してくれている。
後援会は選挙の核になるため、党大会でも『後援会名簿をしっかり作成するように』と指示が出ています。それらの名簿に基づいて選挙の際には個別に支援をお願いする」