ヤクルトの若き主砲・山田哲人の勢いが止まらない。早くもホームランは23本(6月22日現在)でセ1位、交流戦では1カードわずか3試合ながらパ全球団同一シーズン11球団からホームランという記録を打ち立てた。打率は2位、打点1位で、三冠王の夢も膨らむ。当代最強打者のバットをどう封じるか。球史に燦然と輝くレジェンドが秘策を公開する。
まずは時空を超えた「山田対決」だ。シンカーを武器に通算284勝を挙げた「ミスター・サブマリン」こと山田久志氏(元阪急)にご登場願おう。久志氏は「非常に穴の少ないバッター」と分析する。
「普通のホームランバッターにはウイークポイントがあるもの。だけど彼はインサイドもアウトコースも難なく対処してくる。あれだけ足を高く上げれば普通はグリップの位置が動くはずだけど、山田はブレない。だから一定した強いスイングができ、いろんな球種やコースに対応できる」
ならば、その盤石のバランスを崩すしかない。久志氏は自身の代名詞である必殺シンカーをあえて見せ球に使うという。
「私のシンカーは、ストライクが膝元でボールになるところを振らせる球。つまり見逃されてはダメなんです。現役時代、私のシンカーを平然と見送ったのは落合(博満)ぐらいでしたが、山田も振らないでしょう。それだけ彼はインサイドの見極めがいい。
私が対戦するならインハイの速球かシンカーで体を起こし、対角線のアウトローへの小さく曲がるスライダーか、大きく曲がるカーブで勝負する。いかに外角のギリギリのボールを振らせるかがカギになる」
続いては、マサカリ投法から繰り出すフォークボールで215勝をマークした村田兆治氏だ。村田氏は“伝家の宝刀”が有効と考える。