文部大臣や法務大臣、総務大臣などを歴任した衆議院議員の鳩山邦夫氏が67才で死去した。以前から激ヤセ姿が写真誌で報じられるなど体調が心配されていたが、6月20日午後に都内の病院に入院。そのまま21日に十二指腸潰瘍のため亡くなった。現役議員の突然の訃報に、「十二指腸潰瘍ってそんなに怖い病気だったの?」「薬で治ると聞くけれど、亡くなることってあるんだ…」と疑問と不安の声が上がっている。その数々の疑問に答えようと、今回改めて専門家に話を聞いてわかったのは、何より「知らないこと」の怖さだった。
そもそも、十二指腸潰瘍とはどんな病気なのか。おおたけ消化器内科クリニック院長の大竹真一郎さんが解説する。
「十二指腸は胃の直下にある消化器官です。胃の中は酸性の胃液が出ていますが、十二指腸内の消化液はアルカリ性です。通常は胃液が十二指腸に流れてきても中和されて中性になりますが、胃液がたくさん出すぎると十二指腸が酸性になってしまいます。すると酸により十二指腸に傷がつき、それが深くなって潰瘍ができた状態を十二指腸潰瘍といいます」
初期の自覚症状として多いのは空腹時の上腹部痛だ。それを放っておいて病状が進行すると粘膜の下の血管まで傷が深くなって出血するため、吐血や、真っ黒な海苔の佃煮のような便が出ることがある。さらに傷が深くなると、十二指腸に穴が開く。
「これは穿孔(せんこう)といって、非常に危険な状態です。穴から胃酸や食べたものがお腹の中に漏れ出すため、腹膜炎になって命にかかわることもあります。また、出血がひどい場合は出血死する可能性もあります」(大竹さん)
出血していても穿孔していない場合は手術はしないで済むものの薬や胃カメラを使った治療で止血する必要がある。
胃酸が多い10~20代の若い人や、年齢に関係なくストレスによって胃酸過多になっている人がかかりやすいといわれているが、「ピロリ菌」も原因の1つだと話すのは、しおや消化器内科クリニック院長の塩屋雄史さんだ。