後継と見られていたニケシュ・アローラ副社長(48)の退任を発表するという「心変わり」をしても社内から不平不満は聞こえてこない。周囲や下から尊敬の念を集めている証左だろう。
「それでいて、孫さんや三木谷さんは上からの覚えもめでたかった。『ジジころがし』ですね。年が離れている目上の人に話を合わせるだけでなく、堂々と議論できるコミュニケーション能力に長けていた」(長田氏)
新浪氏は「かわいくない部下の典型」といわれながらも、いいたいことは上司にはっきりいう姿勢でローソンの社長にのぼりつめ、サントリーの佐治信忠会長によって後任に指名された。目上の人にかわいがられるのもポスト団塊世代のリーダーの特徴なのだろう。
1974年公開の『青春の蹉跌』は、70年安保終焉後の若者の情熱と孤独、焦燥を描いた映画だ。いま、トップから追いやられつつある団塊世代は、再び挫折と蹉跌を味わおうとしているのか。
※週刊ポスト2016年7月8日号