冒頭で紹介した署名活動の現場では「安倍内閣退陣」のポスターが掲示されるとともに、参院選でどの政党に投票するか、シールを特大ボードに貼るアンケートも実施していた。ちなみに「野党」に貼られたシールは与党の2倍ほどもあり、現実にそうなったら安倍内閣退陣間違いなしだが、このシールの数には“何らかの深い理由”があったのだろう。
いずれにしても「戦争法反対」の署名運動は、7月10日の参院選を明らかに意識した形で、全国で繰り広げられている。5月には「2000万人統一署名提出集会」が衆議院第1議員会館で開かれ、民進党の岡田克也代表や共産党の志位和夫委員長らが参加した。
「戦争法」と勝手にネーミングして、思考停止することは簡単だ。しかし現実には、中国の軍艦が何度も日本の領海と接続水域に侵入し、挑発を繰り返している。中国の脅威にどう対処すべきか。その議論を進めることは、参院選があろうとなかろうと喫緊の課題である。
法律の内容を知ろうともしないで「戦争に行かされる!」というとんちんかんな主張を展開したり「爆弾が落ちてきたら嫌だ」と感情論に踊らされたりしている(ましてや政治家もそれに乗っている)のは、中国にとっては大チャンスと映ることだろう。我々は、現実を直視して実効性のある策を考えなければならないのだ。